文献詳細
文献概要
講座 病態運動学―変形・拘縮とADL・4
脊柱変形とADL
著者: 金子操1
所属機関: 1自治医科大学附属病院リハビリテーションセンター
ページ範囲:P.625 - P.632
文献購入ページに移動人間の脊柱は,7個の頸椎・12個の胸椎・5個の腰椎・1個の仙骨・1個の尾骨より成り立っている.胎生期,新生児の脊柱は一時弯曲のみでC字型の弯曲をしている(矢状面).発達,すなわち首が据わり,座位保持から直立姿勢へ,そして歩行獲得の時期へと姿勢や動作が変化してくると,脊柱の形状も変化し,二次弯曲と呼ばれる頸椎部,腰椎部の前弯が出現する.そして,10歳頃には,逆S状の脊柱カーブが完成する.また,前額面で見た脊柱構造は,骨盤(仙骨)の上に長方形の積み木を重ねたような構造をしている(図1).人の立位姿勢は,物理的に不安定な姿勢であるが,筋・靱帯・椎間板などの巧みな働きによって,重い頭部を支えながら種々の作業が遂行可能となっている.さらに,小さなエネルギー消費で円滑な直立二足歩行ができるのは,頸部や体幹の分節的な巧緻運動,前後左右の微妙なバランス調整によるものである.
脊柱の基本は,頸椎・胸椎・腰椎・仙骨・尾骨から成る逆S状カーブであり,その形状は,椎骨の椎体部分,椎間板の状態,椎間関節の可動性,筋の緊張度・伸縮性などによって決まる.また脊柱が十分な機能・役割を果たすためにも椎間板,靱帯,筋など脊柱周囲組織が関与している.脊柱カーブは,これら脊柱構成体・関連組織に何らかの先天異常や交通事故,転落事故などによる脊椎の外傷,加齢による脊柱の退行変性など様々な原因により異常が発生する.これは,単に脊柱が外観上異常な変形を認めるだけではなく,脊柱およびその周囲に存在する脊髄,末梢神経・筋組織・靱帯・心・肺・消化管など全身に少なからず影響する.さらに患者の日常生活活動においても,精神心理面,起居動作・移動動作など基本的動作に影響を及ぼすことが知られている.
脊柱の基本は,頸椎・胸椎・腰椎・仙骨・尾骨から成る逆S状カーブであり,その形状は,椎骨の椎体部分,椎間板の状態,椎間関節の可動性,筋の緊張度・伸縮性などによって決まる.また脊柱が十分な機能・役割を果たすためにも椎間板,靱帯,筋など脊柱周囲組織が関与している.脊柱カーブは,これら脊柱構成体・関連組織に何らかの先天異常や交通事故,転落事故などによる脊椎の外傷,加齢による脊柱の退行変性など様々な原因により異常が発生する.これは,単に脊柱が外観上異常な変形を認めるだけではなく,脊柱およびその周囲に存在する脊髄,末梢神経・筋組織・靱帯・心・肺・消化管など全身に少なからず影響する.さらに患者の日常生活活動においても,精神心理面,起居動作・移動動作など基本的動作に影響を及ぼすことが知られている.
参考文献
1)伊藤達雄:胸椎・胸郭の診察と検査,林浩一郎,他(編):新図説臨床整形外科講座3,p40,メジカルビュー,1995
2)北原 宏:姿勢異常と脊柱変形,金田清志,他(編):新図説臨床整形外科講座2,pp132-155,メジカルビュー,1996
3)山本博司:学童期思春期側弯症の病態と成因,井上駿一,他(編):脊柱変形,pp43-77,医学書院,1977
4)竹光義治:後弯および前弯の異常,井上駿一,他(編):脊柱変形,pp334-377,医学書院,1977
5)松井寿夫:腰痛,下肢痛の診断法,金田清志,他(編):新図説臨床整形外科講座4,pp31-53,メジカルビュー,1995
6)高橋利幸,他:脊柱後弯を呈する高齢者の歩行時の筋電図所見.川崎医療福祉学会誌7:399-403,1997
7)上好昭孝:骨粗鬆症患者のリハビリテーション つまずき,転倒.医学のあゆみ203:806-811,2002
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