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特集 脳卒中の理学療法を再考する
―エディトリアル―脳卒中の理学療法再考の必要
著者: 永冨史子1
所属機関: 1川崎医科大学附属病院リハビリテーションセンター
ページ範囲:P.659 - P.660
文献購入ページに移動はじめに
脳卒中は,臨床場面で理学療法士が最も多く遭遇する疾患の1つである.病態の理解,評価方法,介入方法,効果判定など,多様な切り口からわれわれは学び,工夫し,実践し続けてきた.現在,理学療法の開始時期も実践環境も拡大し,超急性期から維持期まで,ICUから在宅まで,理学療法は様々な場面で求められ,重要な役割を担っている.しかし評価・治療方法ともに,その理論体系はいまだ発展途上で,脳卒中の理学療法プログラムには多種多様な理論が混在しており,組織立った検討は今後の課題,というのが実状である.
2004年に日本脳卒中学会が中心となって「脳卒中治療ガイドライン」が作成された.そのなかでの「リハビリテーション」に対する推奨レベルは項目によりまちまちで,リハビリテーションの位置づけを大雑把にまとめると,「やらないよりやったほうがいい,しかし個々の手法の効果は確認できず,有効性の証明・治療法の確立に努力を要する」という厳しいものであった.われわれ理学療法士と患者さんが日々共同作業で努力している理学療法の効果自体が,実は学術的にはまだ確認されえていないレベルである,というのが現実なのである.
理学療法士自身の視点でこれを払拭し,目的と意義と限界とを明確化する,そのための現状整理という意味で,本号の特集テーマを「脳卒中の理学療法を再考する」とした.
脳卒中は,臨床場面で理学療法士が最も多く遭遇する疾患の1つである.病態の理解,評価方法,介入方法,効果判定など,多様な切り口からわれわれは学び,工夫し,実践し続けてきた.現在,理学療法の開始時期も実践環境も拡大し,超急性期から維持期まで,ICUから在宅まで,理学療法は様々な場面で求められ,重要な役割を担っている.しかし評価・治療方法ともに,その理論体系はいまだ発展途上で,脳卒中の理学療法プログラムには多種多様な理論が混在しており,組織立った検討は今後の課題,というのが実状である.
2004年に日本脳卒中学会が中心となって「脳卒中治療ガイドライン」が作成された.そのなかでの「リハビリテーション」に対する推奨レベルは項目によりまちまちで,リハビリテーションの位置づけを大雑把にまとめると,「やらないよりやったほうがいい,しかし個々の手法の効果は確認できず,有効性の証明・治療法の確立に努力を要する」という厳しいものであった.われわれ理学療法士と患者さんが日々共同作業で努力している理学療法の効果自体が,実は学術的にはまだ確認されえていないレベルである,というのが現実なのである.
理学療法士自身の視点でこれを払拭し,目的と意義と限界とを明確化する,そのための現状整理という意味で,本号の特集テーマを「脳卒中の理学療法を再考する」とした.
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