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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル39巻8号

2005年08月発行

文献概要

講座 病態運動学―変形・拘縮とADL・5

Duchenne型筋ジストロフィーの変形・拘縮とADL障害

著者: 三浦利彦1 長門五城1 田中栄一1 石川悠加2 成田寛志3

所属機関: 1独立行政法人国立病院機構八雲病院リハビリテーション室 2独立行政法人国立病院機構八雲病院小児科 3青森県立保健福祉大学理学療法学科

ページ範囲:P.713 - P.719

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筋ジストロフィーとは「筋線維の変性・壊死を主病変とし,臨床的には進行性の筋力低下をみる遺伝性疾患」と定義されている.近年の分子生物学的研究の進歩により,多くの原因遺伝子が同定され,これに基づいた分類が行われるようになった.なかでもDuchenne型筋ジストロフィー(DMD)は最も頻度が高く(男子出生3,000人に1人)重症であるが,現在のところ根本治療には至っていない.

 しかし,人工呼吸療法の進歩により,1999年10月から2001年10月の国立病院機構筋萎縮症病棟における73名の死亡年齢は27.2±6.7歳となり,“20歳まで生きない疾患”ではなくなってきた.特に非侵襲的換気療法(noninvasive possitive pressure ventilation:NPPV)の普及(2001年現在で,筋萎縮症病棟が介入した在宅人工呼吸患者はNPPV 241名,気管切開による人工呼吸管理65名1))により,生命予後が改善されただけでなく,それまでの活動性をできるだけ維持し,在宅生活を選択する患者も増加してきている2,3)

参考文献

1)筋ジストロフィーの治療と医学的管理に関する臨床研究班ホームページ(厚生労働省精神・神経疾患研究委託費)http://www.pmdrinsho.jp/
2)Bach JR著,大澤真木子監訳:神経筋疾患の評価とマネジメント,診断と治療社,東京,1999
3)石川悠加編著:非侵襲的人工呼吸療法ケアマニュアル―神経筋疾患のための―,日本プランニングセンター,2004
4)松家 豊,他:プロジェクトⅢ-B 臨床病態の解析「運動機能」.昭和57年度厚生省神経疾患研究委託費 筋ジストロフィー症の疫学,臨床および治療に関する研究研究報告書,1983,p44-49
5)小沢〓二郎:“新”細胞膜障害説またはsarcolemmopathy.筋ジストロフィー研究連絡協議会(編);筋ジストロフィーはここまでわかったPart 2,医学書院,1999,pp7-36
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8)Irwin M. Siegel(著),野島元雄,他訳:神経筋疾患のマネージメント インテグレイテッド・アプローチ,三輪書店,1992
9)Rideau Y, et al:Early treatment to preserve quality of locomotion for children with Duchenne muscular dystrophy. Semin Nuerol 15:9-17, 1995
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14)三浦利彦,他:DMDにおけるVCの最高値と呼吸不全・脊柱側彎との関係について.厚生省精神・神経疾患研究委託費 筋ジストロフィーの療養と看護に関する臨床的社会学的研究 平成6年度研究成果報告書,p45,1995
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17)長門五城,他:デュシェンヌ型筋ジストロフィーにおけるシーティング.第17回リハ工学カンファレンス講演論文集,2002,pp65-68
18)長門五城,他:デュシェンヌ型筋ジストロフィー患者におけるエルコフレックスを用いた体幹装具の効果.北海道リハビリテーション学会雑誌:Vol 30,2004
19)田中栄一,他:進行したデュシェンヌ型筋ジストロフィー患者の手指機能の特徴とスイッチの適合について,厚生労働省精神・神経疾患研究委託費 筋ジストロフィー患者のケアシステムに関する総合的研究 平成11~13年度研究報告,2002,pp339-342
20)田中栄一:デュシェンヌ型筋ジストロフィー患者の電動車椅子操作における手指機能の特徴について.第17回リハ工学カンファレンス講演論文集,2002,pp311-314
21)筋ジス患者の使いやすいスイッチ・コントローラの工夫:厚生労働省精神・神経疾患研究委託費 筋ジストロフィー患者のケアシステムに関する総合的研究 PT・OT共同研究連絡会,2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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