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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル39巻9号

2005年09月発行

文献概要

入門講座 ICFに基づく評価と記録・1

ICFの背景と特性,その意義―「障害」の共通理解のために

著者: 長野聖1

所属機関: 1大阪府立大学総合リハビリテーション学部理学療法学専攻

ページ範囲:P.799 - P.805

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はじめに

 2001年5月に世界保健機関(WHO)が,国際生活機能分類(ICF:International Classification of Functioning, Disability and Health)を発表して4年余りが経過した.この間,様々な機関の働きかけにより,理学療法士をはじめとするリハビリテーションに携わる専門職のみならず,保健・医療・福祉に寄与する多くの専門職の間にもICFの考え方は確実に広まっているものと思われる.

 言うまでもなくICFは,1980年から続いた障害の分類法である国際障害分類(ICIDH:International Classification of Impairments, Disabilities and Handicaps)と異なり,「生活機能(functioning)」という新たな視点で対象者を捉えるという画期的な考え方である.しかし,ICFは副題で「国際障害分類改訂版」とされているように,生活機能という視点だけではなく,機能障害,活動制限,参加制約に表される「障害」の分類法でもある.そういった意味で,障害の構造を理解するうえでICFはICIDHから続く連続性のあるモデルであると言えるが,専門職の間で障害の共通理解はどの程度得られているのであろうか.保健・医療・福祉をめぐる今後の様々な制度改革の中で,「障害」は重要なキーワードの1つであり,障害を再考し,専門職種間で共通の概念を持つことが不可欠であると思われる.

 本稿ではICFがどのように用いられ,その結果いかなる課題があるのかについて述べることにより,リハビリテーションに携わる理学療法士が正しくICFを理解し,ICFの考え方を他職種に伝え,これからのチームケアの構築に資するものとする.

参考文献

1)上田 敏:WHO国際障害分類改定の経過と今後の課題.PTジャーナル36:5-11.2002
2)上田 敏:ICFの基本的な考え方.PTジャーナル36:271-276.2002
3)ICF国際生活機能分類(国際障害分類改訂版),中央法規,2002
4)Stucki G, et al:Value and application of the ICF in rehabilitation medicine. Disabil Rehabil 25:628-634, 2003
5)Stucki G, et al:Applying the ICF in medicine(Foreword). J Rehabil Med 44:5-6, 2004
6)Ewert T, et al:Identification of the most common patient problems in patients with chronic conditions using the ICF checklist. J Rehabil Med 44:22-29, 2004
7)国際生活機能分類(ICF)と地域保健活動.生活教育47:6,2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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