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“Physiotherapy”(2004年度版)まとめ
著者: 猪股高志1 西田裕介2 解良武士1 中山智宏1 上村さと美1 武井圭一1 平野隆司3 春日井敦久3 増渕和宏3
所属機関: 1健康科学大学健康科学部理学療法学科 2聖クリストファー大学リハビリテーション学部理学療法学専攻 3豊和麗病院総合リハビリテーションセンター
ページ範囲:P.820 - P.826
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○ハムストリングスの柔軟性に対するPNFパターンの要素を用いた自己ストレッチとセラピストが行うPNFテクニックの比較
Schuback B, et al:A comparison of a self-stretch incorporating proprioceptive neuromuscular facilitation components and a therapist-applied PNF-technique on hamstring flexibility.(3):151-157
( )内の数字は号数
研究デザイン:群ランダム化比較試験
ハムストリングスの柔軟性はスポーツ分野において,障害の予防や筋・姿勢の不均衡改善,関節可動域の維持,パフォーマンスの向上に大きく関与する.本研究では,ハムストリングスの柔軟性に対する効果をPNFパターンの要素を用いた自己ストレッチと,セラピストが行うPNFテクニックで比較した.対象は20~55歳の健常成人40名で,コントロール群14名,自己ストレッチ群(Ⅰ群)12名,PNF施行群(Ⅱ群)14名の3群に無作為に分けた.自己ストレッチは,下肢伸展挙上テスト(SLR)の最終域で保持し大腿後面で両手を組み,足関節底屈,伸展―外転―内旋パターンに抵抗を加え筋収縮を行わせた.15秒間筋収縮,15秒間リラクゼーションのプログラムを4回実施した.Ⅱ群は,伸展―外転―内旋パターンとその拮抗パターンである屈曲―内転―外旋パターンを用いてSlow Reversal,Hold-Relax手技を実施した.適用方法はⅠ群と同様で,いずれも右股関節で実施した.主な測定項目は,実施前後の股関節SLRの角度である.その結果,実施前後において,Ⅰ群では9.6°の改善が認められ,Ⅱ群では12.6°の改善が認められた.Ⅰ群,Ⅱ群ともにコントロール群と比較し有意な改善があったものの,Ⅰ群とⅡ群との間には有意差は認められず,いずれの手技も臨床的に有効な関節可動域の増大が確認された.これらより,PNF要素を含んだストレッチ方法を対象者に指導することで,自己ストレッチでもセラピストのPNFテクニックと同様の効果を得られる,と述べている.
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