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書評
―嶋田智明,平田総一郎 監訳―「筋骨格系のキネシオロジー」 フリーアクセス
著者: 石川斉1
所属機関: 1神戸大学
ページ範囲:P.806 - P.806
文献購入ページに移動第1章では運動学とは何かについて,「転がり,滑り,軸回旋」の基本関節運動や,運動力学ではニュートンやトルクの意義を述べている.第3章における筋の生理学の解説では図が理解を深めさせてくれる.第4章の生体力学の記述は過去の類書よりもはるかに理解しやすいように記述されている.そして何よりも本書の特徴は第5章以降の記載である.すなわち,各筋の機能はもとより関節との相互作用を分かりやすく記載するとともに,筋の代償作用を詳述しているところにある.始めにも述べたが,本書は図がわかりやすく描かれているので理解しやすい.私は今まで大学の講義でトリックモーションや代償作用について学生に熱心に教えてきたが,このような作用を詳述した適当な教科書がなかったのを残念に思っていた1人である.この書を利用することによって運動学の知識が広まりリハビリテーションに関係する医療従事者さらには整形外科医や医学生が恩恵を受けることは間違いない.和訳していただいた諸氏に敬意を表すると共に,この書が多くの人々に愛読されることを希望している.
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