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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル40巻1号

2006年01月発行

文献概要

特集 臨床実習教育

臨床実習教育のあり方―臨床実習教育における学生評価の観点から

著者: 吉村茂和1 宮﨑純弥1

所属機関: 1東京都リハビリテーション病院理学療法科

ページ範囲:P.29 - P.35

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はじめに

 理学療法士(以下,PT)養成校の臨床(臨地)実習における実習生の評価については,各種の理学療法士学会・論文などでこれまで多数報告されている1~4).臨床実習の指導方法に関しては,問題解決学習,クリニカル・クラークシップ,教員主導型,従来の個別的な指導法など多種多様な教育方法が提唱され,それらに関する報告も散見されるようになった1,5~7).このような多数の報告において,臨床実習における実習生の評価と臨床実習教育がどうあるべきか問われつつある.

 それらの関係を考えるにあたっては,PT養成校(以下,養成校)の養成形態が公私を含めて4年制大学,3年制短大,4年制専門学校,3年制専門学校など多様性を呈し,また臨床実習施設においても病院,小児施設,各種老人施設,訪問施設など保健・医療・福祉領域に拡大している.臨床実習における実習生の評価は養成校の理念や臨床実習教育の目的・目標を背景に,臨床実習指導者(スーパー・バイザー:以下,SV)が実習施設の状況に応じて指導した内容や効果を基盤として行われている.実習生の評価方法は,ほぼすべてのSVが各養成校の評価表を使用していると考えられ,学生の評価には養成校の理念(臨床実習教育の目的・目標)と施設側の指導内容・効果が反映されている.

 本稿の狙いは,養成校の養成形態の違いにおける臨床実習の目的・目標,評価表の特徴について明らかにすると同時に,東京都リハビリテーション病院(当院)における過去3年間の臨床実習の現状および実際の実習生の評価を提示し,評価への各種の影響を述べて臨床実習教育のあり方を考察することである.

参考文献

1)縄井清志:問題解決型学習法を取り入れた臨床実習の指導と評価.PTジャーナル32:511-513 1998
2)宮本省三,他:理学療法学科学生の臨床実習成績に関する研究.PTジャーナル27:499-503,1993
3)宮本謙三,他:臨床実習成績に対する妥当性の認識と帰属要因の関連.PTジャーナル36:883-887,2002
4)金田嘉清,他:理学療法士養成教育における臨床実習評価分析―評点と総合評価との関係―.藤田学園医学会誌25:85-88,2001
5)金井昭博,他:臨床実習指導の創意工夫・3 理学療法のエキスパートを育てる―臨床実習をめぐる私の工夫―.PTジャーナル36:181-188,2002
6)州崎俊男:教員主導型臨床実習の方法と効果.PTジャーナル32:485-490,1998
7)宮本省三:理学療法実習指導の方法・患者担当制からクリニカル・クラークシップへの試み,理学療法白書,pp121-125,1997
8)(社)日本理学療法士協会:平成17年学校一覧(http://wwwsoc.nii.ac.jp/jpta/menu.htm)
9)厚生省健康政策局(編):健康政策六法,p1178,1994
10)理学療法士協会(編):臨床実習教育の手引き第4版,2001
11)宮本謙三,他:理学療法学生における臨床実習成績の原因帰属傾向.高知県理学療法9:12-17,2002
12)Mays MJ:Reliability of a method of evaluating the clinical performance of a physical therapy students. Phys Ther 53:1298-1305, 1973
13)大澤諭樹彦,他:臨床実習における自己評価と成績評価の到達目標の差に関する検討―実習成績,ストレス度,満足度との関連―.秋田理学療法9:39-42,2001
14)上野隆司,他:学内成績と臨床実習成績との関係.藍野学院紀要11:85-89,1997
15)内田賢一:臨床実習における臨床実習指導者の意識に関する研究―実習指導者に対するアンケート調査から―.理学療法学32:supplement 571,2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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