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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル40巻10号

2006年10月発行

文献概要

特集 理学療法における運動療法と装具療法の融合

脳卒中片麻痺の治療を目的とした装具使用の実際

著者: 宮嶋武1

所属機関: 1安曇野赤十字病院 リハビリテーション科

ページ範囲:P.823 - P.830

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はじめに

 「脳卒中治療ガイドライン2004」は,急性期の廃用症候群防止や,早期から起座・起立・歩行を含む積極的なリハビリテーションの施行が重要であることを提示し,特に歩行に関しては早期から装具を用いて行うことも推奨した1).脳血管障害(以下,脳卒中)患者の早期リハビリテーションが普及することによって,装具の使用法や使用時期,あるいは考え方も図1に示すように徐々に変容している.急性期の脳損傷患者に対して早期起立・歩行を行う概念がなかった時代は,歩行獲得が円滑に進行しない患者に対し,最終段階で個人用の装具を作成して用いる傾向が強かった.しかし,早期起立・歩行の適応が可能であることが判明してからは,起立・歩行などの動作の早期獲得の手段として,急性期からも装具が用いられるようになった.特に重度意識障害や重度麻痺を伴う患者は,早期起立・歩行練習時において装具は必需品となっている.その一方で,廃用症候群に関する知識不足や装具使用に関する誤った概念,あるいは早期からの起立・歩行の経験不足などが原因で,治療手段として装具を用いる早期起立・歩行練習の実施をためらう傾向も生じている.当院においては,15年以上前から練習用装具を用いた早期起立・歩行に取り組み,急性期からの治療を目的とした装具の検討を行っている2,3)

 本稿では,脳卒中患者の装具適用に関して,装具に関する誤った概念を是正するとともに,当院で使用している長下肢装具(以下,KAFO)や短下肢装具(以下,AFO)の使用方法・時期について,また廃用症候群予防の重要性についても述べる.

参考文献

1)篠原幸人,他(編),脳卒中合同ガイドライン委員会:脳卒中治療ガイドライン2004 第2刷,協和企画,2004
2)宮嶋 武:早期退院への理学療法の取り組み.理学療法17:585-588,2000
3)宮嶋 武:左側無視における「注意」の障害に対する理学療法.PTジャーナル37:1049-1052,2003
4)宮嶋 武:急性期のリハビリテーション―理学療法士の立場から.臨床看護30:1962-1978,2004
5)保尊隆亨:植物の環境応答,インターネット講座2003「細胞;生命の源」 第6回
6)曽我部正博:細胞重力センサーの探索 宇宙利用に関する公募地上研究,平成10年度研究成果報告書
7)跡見順子:ヒトにいたる地球上生命(動物)の適応進化と「ヒトの生物学」~分子・細胞から個体までを「運動と適応」でつなぐ宇宙利用基盤研究~.Space Utiliz Res 21:240-243,2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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