icon fsr

文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル40巻10号

2006年10月発行

文献概要

症例報告

発症後20年以上経過した脳卒中片麻痺に対し理学療法を実施して効果が得られた1症例―治療的電気刺激と自転車エルゴメーターを用いた痙縮減弱の効果

著者: 泉川幸恵1 三村聡男1 小川真司1 小塚和豊1 𠮷田真一1 原行弘1

所属機関: 1日本医科大学千葉北総病院リハビリテーション科

ページ範囲:P.875 - P.879

文献購入ページに移動
はじめに

 一般的に,中枢神経疾患にみられる運動麻痺では,上位中枢の障害によって随意運動が不能になるだけでなく,上位中枢の抑制から解放された下位中枢の自動的な型にはまった姿勢や運動が出現する1)

 運動麻痺に対する理学療法は,通常,脳そのものの回復が6か月以内にほぼプラトーになると考えられていることから,慢性期では回復期に獲得した能力の維持を目的とすることが多い1)

 われわれは,脳梗塞発症後20年以上経過し,踵足歩行と内反・尖足歩行の2つのパターンを認める症例を経験した.今回,痙縮の減弱を目的として,治療的電気刺激(therapeutic electrical stimulation:以下,TES)と自転車エルゴメーター(以下,エルゴ)を用いた理学療法を実施し,有効であったので報告する.

参考文献

1)潮見泰蔵:中枢神経運動麻痺に対する運動療法の基礎.PTジャーナル38:727-732,2004
2)関 勝,他:痙性の評価.臨床リハ11:45-50,2002
3)柳澤 健,他:反射運動の筋電図学的評価―H波・M波.理学療法21:1287-1292,2004
4)Bulbulian R, et al:Motor neuron excitability:the Hoffmann reflex following exercise of low and high intensity. Med Sci Sports Exerc 18:697-702, 1986
5)小池和幸,他:片麻痺患者に対する低周波治療の効果.理学療法学23(学会特別号):296,1996
6)小池和幸,他:脳卒中片麻痺患者に対する電気刺激療法の効果.PTジャーナル31:266-270,1997
7)伊橋光二:中枢性運動麻痺に対する電気刺激療法.理学療法14:546-552,1997
8)亀山順一,他:歩行改善を目的とした経皮電極を用いた治療的電気刺激(TES)の経験(第1報).臨整外30:609-614,1995
9)嶋田智明:物理療法マニュアル,第1版,pp172-179,医歯薬出版,2002
10)原 行弘:エルゴメーター.総合リハ32:665-670,2004
11)Rosche J, et al:The effects of therapy on spasticity utilizing a motorized utilized exercise-cycle. Spinal Cord 35:176-178, 1997
12)Motl RW, et al:Acute leg-cycling exercise attenuates the H-reflex recorded in soleus but not flexor carpi radialis. Muscle Nerve 27:609-613, 2003
13)千野直一:脳卒中マニュアル,p39,照林社,1998
14)大峯三郎,他:早期理学療法―運動麻痺へのアプローチ.PTジャーナル34:619-628,2000
15)鴨下 博:痙縮の新しい理解.臨床リハ11:893-899,2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?