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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル40巻11号

2006年11月発行

文献概要

特集 緩和ケアとしての理学療法

脳血管障害患者の終末期における実態と理学療法

著者: 瀬戸口佳史1 中島洋明1

所属機関: 1大勝病院リハビリテーション科

ページ範囲:P.925 - P.929

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はじめに

 終末期リハビリテーションについてはこれまで進行性疾患である悪性新生物(がん)やエイズ,筋萎縮性側索硬化症などに対する緩和ケア領域での関わりを示した報告1~5)が主であり,脳血管障害などの長期療養が必要な疾患に対しては今後開拓しなければならない重要な課題であると思われる.

 医療の現場,特に療養型病床などでは,重篤な脳血管障害を発症して遷延性の意識障害を来す者,再発を繰り返したり,誤嚥性肺炎や関節拘縮,廃用障害のため,徐々に機能低下が生じ,結果的に寝たきりや,意思疎通も困難となった者が多く存在している.それら脳血管障害の終末期ともいえる患者へのリハビリテーションをどのように実施し,またその個人の尊厳ある終末にわれわれ理学療法士がどのように貢献できるかという具体的な手法を示した報告は少ない.

 本稿では,脳血管障害終末期の判断条件として日本脳神経外科学会が1976年に提唱したPVS(persistent vegetative state)6)の定義に基づき,当院での脳血管障害終末期間に関する調査・結果を踏まえ,今後理学療法士が脳血管障害患者の終末期リハビリテーションにどのように関わっていくべきかを述べる.

参考文献

1)山根清美:神経内科領域におけるターミナルケア.日本老年医学会雑誌41:35-38,2004
2)下郷 宏:病院で,生きること,生かされること.日本老年医学会雑誌40:607-609,2003
3)渡辺春樹:ALS(筋萎縮性側索硬化症)患者と尊厳死.難病と在宅ケア11(5):7-12,2005
4)岡本珠代:ターミナルケアの理論.PTジャーナル36:877-882,2002
5)辻 哲也,他:緩和ケア病棟においてリハビリテーションに期待すること.総合リハ31:1133-1140,2003
6)http://ja.wikipedia.org
7)http://www.akita-noken.go.jp/provide/ekigaku/yobo/minibook/ketsuatsu/chap2_6.html
8)TIA後10年で脳卒中再発率は50%以上.Medical Tribune 38(30):16,2005
9)Jovanovic DR, et al:Classification of outcomes events in the Dutch TIA trial. Curr Med Res Opin 20:255-258,2004
10)瀬戸口佳史,他:特異的背臥位肢位を呈するPusher例の運動生理学的検討.理学療法学29:110,2002
11)瀬戸口佳史,他:著明な下肢屈曲拘縮を呈した脳血管障害4症例.日本リハビリテーション医学九州地方会誌10:5,2001
12)有働尚子:低ADL(高齢)患者における腹臥位療法の効果について,厚生省長寿科学総合研究 高齢者の心身機能に関する研究班
13)有働尚子:低ADL(高齢)患者における腹臥位療法のすすめ―老人医療費削減の今だからこそ.看護学雑誌62:642-649,1998
14)有働尚子:(腹臥位療法)8つのヴァリエーション.看護学雑誌63:36-45,1999

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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