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報告
端座位において骨盤後傾が肩甲上腕リズムに及ぼす影響
著者: 篠田雄一1
所属機関: 1いちはら病院リハビリテーション部
ページ範囲:P.1055 - P.1060
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肩甲上腕リズムは,Codmanが上腕骨挙上に付随して回旋する肩甲骨の連動現象を肩甲上腕リズムと名付けたことを発端とし,Inmanら1)はこのリズムが一定の決められた比率となっていることを報告した.一方,Doodyら2)は,このリズムが胸郭の形,挙上時の抵抗によって変化することを報告した.本邦においては,池田ら3)が肩甲骨面(scapular plane)での動的場面における計測を行った他,原田ら4)が運動速度や負荷の有無によっても,このリズムが変化することを報告するなど,諸家の報告がみられる.
理学療法士は様々な障害に対し,治療対象を原疾患のみに限局せず,姿勢による影響を考慮して治療にあたる.これは肩関節疾患に対して行われる理学療法場面においても同様であり,肩関節に限局した問題の改善にのみ焦点を絞ることなく,肩関節に影響を与えることが予想される要因についても,その改善を目的として理学療法を施行する.その1つとして姿勢の変化が肩関節に及ぼす影響も考慮されると考える.しかし姿勢が肩関節機能に及ぼす影響の根拠に関して,記述されているものは数少ない5~7).理学療法士が姿勢による肩関節への影響を推測しながらも,未だその明確な根拠をもたないままに臨床に臨んでいると言わざるを得ない現状にある.
本研究は,体幹を直立させた端座位と骨盤を後傾させた端座位の2条件を設定した.この2条件における肩甲上腕リズムを調査し,同一被験者の姿勢の変化が肩関節機能に及ぼす影響を検討した.その上で肩関節疾患に関する理学療法場面において,姿勢を考慮する意義を検討することを目的とした.
肩甲上腕リズムは,Codmanが上腕骨挙上に付随して回旋する肩甲骨の連動現象を肩甲上腕リズムと名付けたことを発端とし,Inmanら1)はこのリズムが一定の決められた比率となっていることを報告した.一方,Doodyら2)は,このリズムが胸郭の形,挙上時の抵抗によって変化することを報告した.本邦においては,池田ら3)が肩甲骨面(scapular plane)での動的場面における計測を行った他,原田ら4)が運動速度や負荷の有無によっても,このリズムが変化することを報告するなど,諸家の報告がみられる.
理学療法士は様々な障害に対し,治療対象を原疾患のみに限局せず,姿勢による影響を考慮して治療にあたる.これは肩関節疾患に対して行われる理学療法場面においても同様であり,肩関節に限局した問題の改善にのみ焦点を絞ることなく,肩関節に影響を与えることが予想される要因についても,その改善を目的として理学療法を施行する.その1つとして姿勢の変化が肩関節に及ぼす影響も考慮されると考える.しかし姿勢が肩関節機能に及ぼす影響の根拠に関して,記述されているものは数少ない5~7).理学療法士が姿勢による肩関節への影響を推測しながらも,未だその明確な根拠をもたないままに臨床に臨んでいると言わざるを得ない現状にある.
本研究は,体幹を直立させた端座位と骨盤を後傾させた端座位の2条件を設定した.この2条件における肩甲上腕リズムを調査し,同一被験者の姿勢の変化が肩関節機能に及ぼす影響を検討した.その上で肩関節疾患に関する理学療法場面において,姿勢を考慮する意義を検討することを目的とした.
参考文献
1)Inman VT, et al:Observations on the function of the shoulder joint. J Bone Joint Surg 26:1-30, 1944
2)Doody SG, et al:Shoulder movements during abduction in the scapular plane. Ach Phys Med Rehabil 51:595-604, 1970
3)池田 均,他:Scapular planeにおける肩関節(健常人)の運動分析.中部整災誌25:283-285,1982
4)原田 拓,他:Scapulohumeral rhythmに関する新しい知見.肩関節24:159-162,1999
5)水野智明,他:肩関節運動における体幹筋活動の姿勢的影響.理学療法学27(学会特別号):224,2000
6)勝木秀治,他:姿勢と骨盤傾斜角が肩甲上腕リズムに与える影響.理学療法学28(学会特別号):53,2001
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10)唐澤達典,他:肩甲骨における肩関節可動域の測定.理学療法学30:14-16,2003
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