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特集 理学療法の展望2006 第Ⅰ部 理学療法,この10年の変遷と将来展望
理学療法40年の歴史―10年の変遷と将来展望
著者: 日下隆一1
所属機関: 1佛教大学保健医療技術学部理学療法学科
ページ範囲:P.1089 - P.1093
文献購入ページに移動はじめに
1966年(昭和41年)に理学療法士が誕生して40 年を迎える.この間の理学療法士数の増加をみると1980年代前半までの「緩増加期」,続く1995 年までの「増加期」,以後の「急増加期」に区分することができる.したがって,この10年は理学療法士が急速に増加した,まさに激動の時期であるといえるが,この10年はかつての高度経済成長の終焉に続く経済成長率の低迷期であり,国内総生産からみても日本経済が新たな時代を迎えた時期でもある(図1).また,この10年は最も高齢化率が高く推移した時期であり(図2),高齢化社会への対応から2000年には介護保険制度が施行されている.加えて,1980年代に入ると高騰する医療費問題に対する旧厚生省の危機感から1),医療費抑制が叫ばれるようになり,この10 年は医療費抑制を反映して診療報酬改定率も明らかな低下傾向を示している(図3).このような状況にありながらも理学療法士が急増した最大の要因は,リハビリテーション(以下,リハビリ)に対する社会的ニーズの高まりであり,医療においてはリハビリ医学の発達やそれに対する国民意識の向上とそれを基盤とした高齢化社会に対応すべく創設された介護保険の導入等にあると思われる. したがって,ここ10年のキーワードは,それぞれに関連する「医学の発達」「少子高齢化社会」「社会保障費」「診療報酬」「介護報酬」「国民意識変化」「低調経済」「リハビリニーズ」「理学療法士急増」等であろう.
この10年に限らず,リハビリ関連学会や団体は国民の期待に応えるべく努めてきた.社団法人日本理学療法士協会(以下,協会)においても,理学療法理論や技術の進歩を主とした学術活動に限らず,職能系に関する活動,さらには公益事業活動や国際貢献と多岐にわたる方面に積極的な足跡を残してきた.これらの詳細については,本誌の各項で述べられるものと思われるが,ここでは近年の社会情勢を鑑みながら,この10年の理学療法士(数)と理学療法士が勤務する施設数の変遷を中心に,関連する協会活動にも触れながら今後の展望について述べてみたい.
1966年(昭和41年)に理学療法士が誕生して40 年を迎える.この間の理学療法士数の増加をみると1980年代前半までの「緩増加期」,続く1995 年までの「増加期」,以後の「急増加期」に区分することができる.したがって,この10年は理学療法士が急速に増加した,まさに激動の時期であるといえるが,この10年はかつての高度経済成長の終焉に続く経済成長率の低迷期であり,国内総生産からみても日本経済が新たな時代を迎えた時期でもある(図1).また,この10年は最も高齢化率が高く推移した時期であり(図2),高齢化社会への対応から2000年には介護保険制度が施行されている.加えて,1980年代に入ると高騰する医療費問題に対する旧厚生省の危機感から1),医療費抑制が叫ばれるようになり,この10 年は医療費抑制を反映して診療報酬改定率も明らかな低下傾向を示している(図3).このような状況にありながらも理学療法士が急増した最大の要因は,リハビリテーション(以下,リハビリ)に対する社会的ニーズの高まりであり,医療においてはリハビリ医学の発達やそれに対する国民意識の向上とそれを基盤とした高齢化社会に対応すべく創設された介護保険の導入等にあると思われる. したがって,ここ10年のキーワードは,それぞれに関連する「医学の発達」「少子高齢化社会」「社会保障費」「診療報酬」「介護報酬」「国民意識変化」「低調経済」「リハビリニーズ」「理学療法士急増」等であろう.
この10年に限らず,リハビリ関連学会や団体は国民の期待に応えるべく努めてきた.社団法人日本理学療法士協会(以下,協会)においても,理学療法理論や技術の進歩を主とした学術活動に限らず,職能系に関する活動,さらには公益事業活動や国際貢献と多岐にわたる方面に積極的な足跡を残してきた.これらの詳細については,本誌の各項で述べられるものと思われるが,ここでは近年の社会情勢を鑑みながら,この10年の理学療法士(数)と理学療法士が勤務する施設数の変遷を中心に,関連する協会活動にも触れながら今後の展望について述べてみたい.
参考文献
1) 水野肇:だれも書かなかった厚生省,草思社,pp103-114,2005
2) 二木立:21世紀初頭の医療と介護,勁草書房,pp13-16,2001
3) 厚生労働省:医療制度構造改革試案,平成17年10月19日版
4) 遠藤久夫,池上直己(編著):医療保険・診療報酬制度,勁草書房,pp130-131,2005
5) 社会保険研究所:高齢者リハビリテーションのあるべき方向,高齢者リハビリテーション研究会報告書,p6,2004
6) 日本公衆衛生協会維持期リハビリテーションのあり方検討委員会:平成9年度維持期におけるリハビリテーションのあり方に関する検討委員会報告書,pp5-6,1997
7) 日本理学療法士協会学術局:カリキュラム改定の手引き,日本理学療法士協会,pp8-10,1999
8) 加倉井周一,赤居正美(監訳):リハビリテーション治療選択基準,協同医書出版,pp1-4,1997
9) 山本和利(編):脱専門家医療,診断と治療社,pp243-275,2002
10) 信川益明:理学療法士等リハビリテーション関連職種の適正配置に関する研究平成10年度~平成12年度総合研究報告書,p20,2001
11) 濃沼信夫:医療のグローバルスタンダード,ミクス,pp76-77,2000
12) 安村誠司:介護予防事業の有効性の評価とガイドラインの作成平成15年度統括・分担研究報告書,pp1-8,2003
1) 厚生労働省(編):平成17年度版厚生労働白書,ぎょうせい,2005
2) 第25~35回社団法人日本理学療法士協会総会並びに代議員会資料
3) 社団法人日本理学療法士協会(編):理学療法白書2005,2006
4) UFJ総合研究所:訪問リハビリテーションのサービス提供に関する調査研究」報告書,2005
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