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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル40巻13号

2006年12月発行

文献概要

特集 理学療法の展望2006 第Ⅰ部 理学療法,この10年の変遷と将来展望

理学療法士の職域―10年の変遷と将来展望

著者: 奈良勲1

所属機関: 1神戸学院大学総合リハビリテーション学部

ページ範囲:P.1101 - P.1107

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はじめに

 1965年に公布された「理学療法士及び作業療法士法」(法律137号)の目的である第1条には,「この法律は,理学療法士及び作業療法士の資格を定めるとともに,その業務が,適正に運用されるように規律し,もって医療の普及及び向上に寄与することを目的とする」とある.つまり,この法律で理学療法士は,医療職として位置づけられている.その条文を受けて,第2条の定義では「理学療法とは,身体に障害のある者に対して, 主としてその基本動作能力の回復を図るため,治療体操,その他の運動を行なわせ,及び電気刺激,マッサージ,温熱,その他の物理的手段を加えることをいう」とある.これらの法律上の条文は,理学療法士の業務と職域とを定める基本的枠組みと指針になるため,理学療法士の職域について考える際,避けて通れない事項である.

 このような点から,理学療法士が誕生して以来,理学療法士の職域は,法律上の枠と業務内容(定義),そして,理学療法士の数が不足していたこともあり,狭義の医療に限定されてきたことは事実である.しかし,後述するが,高齢社会の到来で社会構造が変革してきたことに鑑み,国は国民の社会生活上のニーズに応えるべく,総合的に対応する基本姿勢を呈示し,過去10数年の間に種々の政策を掲げて善処してきた.その過程で理学療法士の職域も必然的に変遷してきた.

参考文献

1) 村川浩一:高齢者保健福祉計画研究,中央法規出版,1996
2) 奈良勲:丸ごとみようICFに準じた脳卒中患者の簡易総合評価システム.理学療法のとらえかたpart 3,文光堂,2005
3) 奈良勲:保健・医療・福祉システムの変遷と21世紀の理学療法の展望.理学療法 17:7-10,2000
4) 黒川幸雄:理学療法士の需給・職域の展望.PTジャーナル 30:853-860,1996
5) 中屋久長,奈良勲:理学療法の30年の変遷と展望.PTジャーナル 30:840-845,1996
6) 日本理学療法士協会(編):日本理学療法士会四十年史,2006
7) 日本理学療法士協会(編):理学療法白書2005,2006
8) 世界保健機関(編):国際生活機能分類,中央法規出版,2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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