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特集 理学療法の展望2006 第Ⅱ部 理学療法の発展と課題
呼吸理学療法の発展と課題
著者: 神津玲1 千住秀明2 北川知佳3
所属機関: 1長崎大学医学部・歯学部附属病院リハビリテーション部 2長崎大学大学院医歯薬学総合研究科保健学専攻 3長崎呼吸器リハビリクリニックリハビリテーション科
ページ範囲:P.1168 - P.1169
文献購入ページに移動わが国における呼吸理学療法は1950年代,肺結核の外科治療に伴う術後の呼吸機能温存を目的に,肺機能訓練(術前後の呼吸練習)として初めて登場した1).しかし,呼吸理学療法そのものの認知度と診療報酬の低さ,卒前・卒後教育の不備などから,理学療法士の関心は低く,それに取り組む者も少なかった.その後,1985年の在宅酸素療法の社会保険適用や,1990年代以降の急性期呼吸管理への関心の高まりを契機として呼吸理学療法は発展した.そのような時代背景とともに,欧米で呼吸理学療法や呼吸管理のトレーニングを受けた先達理学療法士,さらには本法に対して多大な指導と支援を惜しまなかった医師らによって,その普及と定着に向けた臨床活動,研究報告,さらには草の根的な講習会の開催などが行われてきた.このような多くの地道な取り組みは,呼吸ケアの質の改善に少なからず寄与し,対象者のQOの向上にも大きく貢献するとともに,その推進の原動力となった.さらにリスクマネジメント,EBM(evidence based medicine),診療ガイドラインといった時代の潮流に後押しされる形で,呼吸理学療法は発展を続けている.
現在では,全国各地で講習会が開催されるとともに,教科書なども数多く出版され,呼吸理学療法を学ぶ機会に恵まれている.特に各種セミナーや講習会では,どの会場も盛況で絶えず受講者であふれている.それに伴うかのように,日本理学療法学術大会での呼吸理学療法関連演題数は,1990年代前半には1,2セクションであったものが,現在では10セクション以上にまで急増しており,その関心の高さが現れている.
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