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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル40巻13号

2006年12月発行

文献概要

特集 理学療法の展望2006 第Ⅱ部 理学療法の発展と課題

介護予防と理学療法

著者: 島田裕之1

所属機関: 1東京都老人総合研究所

ページ範囲:P.1170 - P.1171

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1.介護保険制度下における介護予防の位置づけ

 要介護認定者数は増加の一途をたどり,2000年4月末~2004年8月末の間に,218.2万人から400.3万人へと83%の増加を示している.この中でも,要支援や要介護1といった比較的障害度の軽度な高齢者の増加率が著しく,新制度下ではこれらを要支援1と要支援2(新予防給付対象者)と改め,要介護状態の予防や状態の改善に焦点をあてた介護保険サービスが提供されることとなった.また,要支援や要介護状態となる危険性が高い高齢者を対象とした介護予防・地域支えあい事業は,介護保険により事業化されることとなり,一般高齢者施策と特定高齢者施策として各自治体において取り組みがなされている.

 これらの制度改革の背景には,高齢者の自立支援を最大の目標とする介護保険制度において,介護状態の予防が,実際には十分な効果をあげてきたとは言いがたい状況にあることや,この間の研究事業やモデル事業を通じて,介護予防サービスの有効性が明らかにされてきたことによる.現在の介護予防の課題として,厚生労働省「総合的介護予防システムについての研究班(主任研究者:辻一郎)」の報告によると,①これまでの介護予防サービスの中には介護予防効果が十分に検証されていないものもあった,②事業評価の取り組みが不十分であった,③介護予防を必要とする人たち(その効果が最も期待される人たち)が介護予防サービスを十分に利用していたとは言いがたい,④集団を対象として画一的なプログラムの提供が多かった,⑤事業が自己目的化する傾向があった,という問題点が挙げられている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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