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特集 理学療法の展望2006 第Ⅱ部 理学療法の発展と課題
スポーツ理学療法の発展と課題
著者: 小柳磨毅1
所属機関: 1大阪電気通信大学医療福祉工学部
ページ範囲:P.1184 - P.1185
文献購入ページに移動1.社会的側面
1980年代からわが国の医療機関にスポーツ傷害を治療対象とする「スポーツ整形外科」が開設された.以後,スポーツ整形外科医と専門医療機関数とともに,理学療法士がmedical rehabilita-tioの段階からスポーツ傷害を治療する機会も増加した1,2).さらに理学療法士の活動の場は医療機関にとどまらず,スポーツ医科学の専門施設,プロスポーツや実業団,大学や地域におけるスポーツ選手の健康管理へと広がっている3~5).また日常業務とは別に,理学療法士が様々なスポーツ大会で医務班の一員として活動する機会も増え,スポーツ医療における理学療法士の認知度が高まってきた6).最終目標である傷害予防の実現には,日常的に選手の健康管理を支援する活動が必要不可欠である.近年,理学療法士がクラブ活動をはじめとするスポーツ現場を定期的に訪問し,体力測定やトレーニング指導,傷害予防のための講習会などが行われるようになった(図1).活動に伴う経費などの問題7)をクリアする必要があるが,傷害予防の客観的な成果を示す報告8)もみられ,その価値が認識されて“スポーツ選手に対する地域リハビリテーション”として定着することが望まれる.今後,こうした学校保健やクラブスポーツへの継続的な介入とその成果の蓄積が,理学療法士にとって最も重要な課題のひとつになると考えられる.
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