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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル40巻13号

2006年12月発行

文献概要

特集 理学療法の展望2006 第Ⅱ部 理学療法の発展と課題

スポーツ理学療法の発展と課題

著者: 小柳磨毅1

所属機関: 1大阪電気通信大学医療福祉工学部

ページ範囲:P.1184 - P.1185

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スポーツ傷害に対する理学療法の現状と近年の発展,今後の課題について,社会的および医学的側面から述べる.

1.社会的側面

 1980年代からわが国の医療機関にスポーツ傷害を治療対象とする「スポーツ整形外科」が開設された.以後,スポーツ整形外科医と専門医療機関数とともに,理学療法士がmedical rehabilita-tioの段階からスポーツ傷害を治療する機会も増加した1,2).さらに理学療法士の活動の場は医療機関にとどまらず,スポーツ医科学の専門施設,プロスポーツや実業団,大学や地域におけるスポーツ選手の健康管理へと広がっている3~5).また日常業務とは別に,理学療法士が様々なスポーツ大会で医務班の一員として活動する機会も増え,スポーツ医療における理学療法士の認知度が高まってきた6).最終目標である傷害予防の実現には,日常的に選手の健康管理を支援する活動が必要不可欠である.近年,理学療法士がクラブ活動をはじめとするスポーツ現場を定期的に訪問し,体力測定やトレーニング指導,傷害予防のための講習会などが行われるようになった(図1).活動に伴う経費などの問題7)をクリアする必要があるが,傷害予防の客観的な成果を示す報告8)もみられ,その価値が認識されて“スポーツ選手に対する地域リハビリテーション”として定着することが望まれる.今後,こうした学校保健やクラブスポーツへの継続的な介入とその成果の蓄積が,理学療法士にとって最も重要な課題のひとつになると考えられる.

参考文献

1) 星川吉光:スポーツ医療の環境,スポーツ外傷学総論,医歯薬出版,pp8-19,2001
2) 小柳磨毅:スポーツ傷害の理学療法,理学療法MOOK9:スポーツ傷害の理学療法,福井勉,小柳磨毅(編),三輪書店,pp2-12,2001
3) 小林寛和:スポーツ医療における理学療法士の活動.理学療法 22:1191-1199,2005
4) 門田正久,他:スポーツクリニックにおけるトップアスリートのための理学療法.PTジャーナル 40:423-430,2006
5) 安藤貴之:Jリーグ・プロチーム組織における理学療法的介入.PTジャーナル 40:431-438,2006
6) 小柳磨毅,他:高校野球甲子園大会における理学療法士のメディカルサポート.PTジャーナル 40:449-456,2006
7) 平川信洋:一般医療施設におけるスポーツ理学療法の課題と展望.理学療法 22:1200-1205,2005
8) 矢澤浩成,他:少年野球チームにおける傷害予防活動について.スポーツ傷害フォーラム研究会誌第11巻(online journal)http://sports-injury.jp/program_vol11.html
9) 片寄正樹,他:スポーツ理学療法の現状と将来展望.理学療法 22:1187-1190,2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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