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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル40巻2号

2006年02月発行

文献概要

特集 物理療法の有効性とリスク管理

物理療法の有効性とリスク管理

著者: 杉元雅晴1

所属機関: 1神戸大学医学部保健学科

ページ範囲:P.91 - P.97

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物理療法の有効性と適応・禁忌

 物理療法は,皮膚を介して物理的刺激を生体組織に与え,生理的な潜在能力(自然治癒力)を引き出す治療である.物理療法の適応と禁忌は,多くの成書で適応とされている疾患や症候群を記載し,伝統的に漫然と引き継がれてきている.例えば疼痛緩和の作用機序を明確に示さずに,物理療法の適応として神経痛(神経根痛,帯状疱疹など)と記載され,有効な時期や刺激条件も不明確なままである.また,特定の物理的刺激が悪影響を与える組織・臓器や急性炎症期の治療を禁忌としている.物理療法手段による標的細胞や組織への作用機序を明確にすると,有効(適応)と無効,禁忌が見えてくる.物理的刺激強度が組織への損傷レベルに達したり,標的細胞や組織に作用しない出力強度では有効性を認めない.物理療法は逸脱した自然治癒過程を軌道修正させる手段なので,疾患の病理学的検討が欠かせない.つまり,物理療法の有効性は疾患や症候群ごとの適応ではなく,分子生物学的視点から標的細胞や組織への刺激の有効性について検討し,物理療法刺激を加える時期が重要となる(図1).

参考文献

1)杉元雅晴:低出力レーザー治療の鎮痛メカニズムと臨床応用.PTジャーナル38:167-176,2004
2)夏井 睦:これからの創傷治療,医学書院,2003
3)杉元雅晴:物理療法におけるリスクマネジメント.理学療法18:593-605,2001
4)杉元雅晴:物理療法におけるリスク管理.網本 和(編):標準理学療法学,第2版物理療法学,pp253-264,医学書院,2004
5)川村治子:ヒヤリ・ハット報告を事故防止にどう役立てるか.第3回朝日看護セミナー資料,2000
6)岩月宏泰:リスクマネジメント教育をどのように進めるか.PTジャーナル35:697-705,2001
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8)厚生労働省:医療の安全確保のための対策事例,2001
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11)谷川廣治:医用電気機器のEMC規格適合の法制化について.Clinical Engineering 14:49-56,2003
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13)横串算敏:物理療法の選択と適応.臨床リハ9:669-677,2000
14)金沢大学医学部附属病院医療事故防止委員会:医療事故防止マニュアル,pp1-42,金沢大学医学部附属病院,2002
15)河野龍太郎:ヒューマンエラー低減技法の発想手順:エラープルーフの考え方.日本プラントヒューマンファクター学会誌4:121-130,1999

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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