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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル40巻3号

2006年03月発行

文献概要

特集 腰部・下肢関節疾患の理学療法―姿勢・動作の臨床的視点

腰部疾患に対する姿勢・動作の臨床的視点と理学療法―腰部脊柱管狭窄症に対する理学療法アプローチ

著者: 石井美和子1

所属機関: 1フィジオセンター

ページ範囲:P.171 - P.177

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はじめに

 社会の超高齢化が進み,慢性腰痛や下肢症状に悩み整形外科を受診する中高年者はますます増加している.それらの症状を訴える中高年者は,その大部分が実は腰部脊柱管狭窄症(以下,本症)であるといわれる.将来的に症状が進行する恐れさえあるにもかかわらず,日常生活にそれほど支障がなければ「加齢変化による症状」として認識され,具体的な解決策が明確に提示されていないのが現状である.

 本症の病因は先天性と後天性に大別され,さらに原因疾患によって分類されるが,そのうち最も頻度が高いのが退行変性による変形性脊椎症,変性すべり症である.これらの疾患は,腰椎周辺組織の生理的加齢変化に加え,変性を惹起させるストレスが繰り返し加わった結果であると捉えられている.したがって,他の関節における退行変性疾患同様,日常の姿勢や動作に病態をつくりだした原因の多くが隠されている.理学療法分野においてはそれらに対してアプローチを展開することで,進行予防も含めた対応ができると考える.本稿では,退行変性による本症に特徴的な姿勢・動作を含めた障害構造と,それに対する理学療法アプローチについて述べたい.

参考文献

1)Chung SS, et al:Effect of low back posture on the morphology of the spinal canal. Skeltal Radiol 29:217-213, 2000
2)石井美和子,他:腰部脊柱管狭窄症における腰椎伸展動態.理学療法学27(学会特別号):327,2000
3)原田雅仁,他:不安定腰椎の連続的動態解析―分離すべり症,変性すべり症における動態特性―.日本臨床バイオメカニクス学会誌19:15-18,1998
4)Gertzbein SD, et al:Centrode patterns and segmental instability in degenerative disc disease. Spine 10:257-261, 1985
5)崎長靖生,他:無分離すべり腰椎のX線学的検討―運動中心と椎間関節の変化について―.整形外科と災害外科33:13-15,1984
6)石井美和子,他:腰椎変性すべり症例における立位姿勢の検討.理学療法学28(学会特別号):203,2003
7)石井美和子,他:腰部脊柱管狭窄症例の動的姿勢の検討.理学療法学29(学会特別号):248,2004
8)石井美和子:歩行における体幹アライメントの動的変化.国際医療福祉大学大学院修士論文,2005
9)Franclin E:Dynamic alignment through imagery, pp146-151, Human Kinetics, 1996
10)Harrison DR, et al:How do anterior/posterior translations of the thoracic cage affect the saggital lumbar spine, pelvic tilt, and thoracic kyphosis?. Eur Spine J 11:287-293, 2002
11)Leinomen V, et al:Impaired lumbar movement perception in association with posture stability and motor-and somatosensory-evoked potentials in lumbar spinal stenosis. Spine 27:975-983, 2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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