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特集 腰部・下肢関節疾患の理学療法―姿勢・動作の臨床的視点
変形性股関節症に対する姿勢・動作の臨床的視点と理学療法
著者: 加藤浩1 大平高正2 今田健2 奥村晃司3 木藤伸宏3
所属機関: 1吉備国際大学保健科学部理学療法学科 2吉備国際大学大学院保健科学研究科 3川嶌整形外科病院リハビリテーション科
ページ範囲:P.179 - P.191
文献購入ページに移動ここ数年,変形性股関節症(以下,変股症)の理学療法に関する学会発表を聞くと,10年前と比較して明らかに研究内容が変化してきたように思う.それは,障害構造のとらえ方が従来の股関節に限局した局所的視点から,本特集のテーマでもある「姿勢」や「動作」といった全身的視点へシフトしてきたことである1~3).これらの研究は福井ら4)の力学的平衡理論にそのヒント得たものが多く,若い読者には是非,この成書を一読し,思考をブラッシュアップすることを勧める.
さて,この理論に関連して木藤ら5)は,下肢関節の運動連鎖(kinetic-chain:以下,KC)の機能に着目し,変形性膝関節症を「合理的な関節運動連鎖と筋活動が障害されることにより,膝関節が有する機能解剖と運動の合理性から逸脱し,膝関節内に異常な圧縮・回旋ストレスが作用した結果生じる,膝を主症状とする運動連鎖機能不全症候群(kinetic-chain-dysfunction syndrome:以下,KCDS)」と定義し,患者の姿勢や動作の異常を多角的に分析し,新たなる視点から運動療法戦略を提案している.筆者はこのKCを考える場合,以下の3つの機能的(システム)要素に集約することができると考えている.すなわち,①骨格構造機能(skeletal system),②筋出力機能(muscular system),③神経機能(nervous system)である(図1).本稿では,上記の3つの機能的要素をキーワードに,主に矢状面上からみた変股症の立位姿勢の特異的評価とその具体的運動療法プログラムについて紹介する.
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