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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル40巻5号

2006年05月発行

文献概要

特集 創傷治癒と理学療法

創傷治癒と理学療法―創傷管理・保護の視点で行う理学療法

著者: 永冨史子1 武田正則2

所属機関: 1川崎医科大学附属病院リハビリテーションセンター 2独立行政法人 労働者健康福祉機構吉備高原医療リハビリテーションセンター

ページ範囲:P.363 - P.370

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はじめに

 創傷には,外傷・褥瘡などによる軟部組織の欠損,皮膚・軟部組織が直接の治療対象である植皮術や褥瘡治療術後,外科手術による治療上の侵襲としての術創・創外固定部など,多くの種類がある.いずれにしても,創傷治癒は順調な治療に必須の条件である.

 創傷の治癒遅延や遷延治療は,理学療法計画にも大きく影響する.理学療法士は,創傷治癒過程や阻害因子について必要な部分を理解し,治療に生かす必要がある.

 皮膚は,関節運動に柔らかく追随しながら,すべての生活動作において体重による圧迫を受け,ずれ応力などのストレスに直接さらされる.理学療法士は,創の状況を把握し,理学療法により創部へかかる物理的ストレスの可能性について分析したうえで,安全な運動課題を提示しなければならない.創傷や創傷付近が支持面となる動作や,運動療法の対象関節付近に創傷がある場合などは,特に重要である.

 創傷治癒を目的とした理学療法の効果に関する論文には,物理療法に関する論文が多く著されている.今回その内容は専門論文へゆずり,本稿では,創傷治癒を念頭に置き創傷管理と保護の視点で理学療法を施行する際の留意点を中心に,創傷種別に症例を紹介し,解説する.

参考文献

1)永冨史子:熱傷に拘縮はつきもの?,理学療法のとらえかたPART 2,文光堂,2003
2)倉田喜一郎:植皮術の実際,中外医学社,1972
3)棚瀬信太郎:創傷管理の基礎 創傷治癒を遅延させる要因.エマージェンシー・ナーシング(2001夏期増刊):52-62,2001
4)森口隆彦,他:「DESIGN」―褥瘡の新しい重症度分類と経過評価のツール.日褥会誌4:1-7,2002
5)岩崎 洋,他:脊髄損傷―PTが行う褥瘡予防アプローチの紹介.理学療法学32:305-308,2005
6)廣瀬秀行:発生予防のための除圧・減圧の具体策.総合リハ32:523-528,2004
7)青木純一郎,他編:日常生活に生かす運動処方,杏林書院,1988
8)大浦武彦:最近の褥瘡に対する考え方とリハビリテーション.理学療法学32:294-298,2005
9)大成浄志:運動とヘルスプロモーション―運動の功罪を考慮した運動指導.PTジャーナル38:441-446,2004
10)北小路隆彦,他:仮骨延長術の合併症.整・災外45:505-512,2002
11)富 雅男:脚延長の理学療法.整・災外45:499-504,2002
12)Donald A. Neumann(嶋田智明,平田総一郎・監訳):筋骨格系のキネシオロジー,p480,医歯薬出版,2005.より改変引用(原著タイトル:Kinesiology of The Musculoskeletal System. Foundation for Physical Rehabilitation.)
13)高橋雅人:関節拘縮の予防と対策.整形外科看護9:540-545,2004
14)平山 竣,島崎修次編:最新の熱傷臨床―その理論と実際,植皮術(分層植皮術),pp331-343,克誠堂,1994

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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