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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル40巻7号

2006年07月発行

文献概要

とびら

訪問理学療法の現場から

著者: 中田隆文1

所属機関: 1須藤内科クリニック

ページ範囲:P.503 - P.503

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 私の勤める診療所では訪問リハビリテーション(訪問リハ)を実施しているが,対象疾患の約7割は呼吸障害患者である.対象者の詳細は,呼吸器疾患が半数で,神経難病,高齢者の呼吸器感染症,末期癌など,多岐にわたる.慢性の経過をたどり定期訪問を行っている場合から,緊急の訪問要請が初回訪問という場合もある.

 私が勤めてきた施設は呼吸器疾患患者が多く,当初から呼吸リハビリテーション(呼吸リハ)を積極的に行って来た.昔話になるが,現在,呼吸不全の評価に使われているパルスオキシメータも普及する前で,運動耐用能検査などを行うたび,医師に連絡して血液ガス検査のための採血をしていた時代もあった.近年の高度医療は医療機器にも反映され,すばやい画像診断や生化学検査などが可能になり,理学療法の場面でも,特に急性期における評価がしやすくなったと感じる.私の経験では,情報に慣れてしまうと検査結果なしでは理学療法実施に不安になることも多く,実際にデータは刻々と変化した.推移する情報に埋もれて臨床を過ごして来た中で,この患者さんは本当に家に帰って暮らせるだろうか,と考えることが徐々に増えていった.私自身,恥ずかしながら,「障害者が家で暮らすこと」がどういうことなのか分からないまま何年も理学療法を行って来たことになるし,今でも理解できているかというと,不安がある.患者さんの日常生活において画像や検査データには表れない問題があることは,経験がある理学療法士なら誰でも感じているはずである.そして,患者さん1人ひとりの生活を理解するには相当の時間と労力を要すると思われる.個人因子や環境因子を考慮することは生活機能評価に欠かせないと実感する.慢性呼吸不全,呼吸障害を持つ患者さんは,様々な障害や不安を抱えて地域で暮らしているのである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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