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1ページ講座 理学療法関連用語~正しい意味がわかりますか?
転倒予防
著者: 新小田幸一1
所属機関: 1広島大学大学院保健学研究科心身機能生活制御科学講座
ページ範囲:P.551 - P.551
文献購入ページに移動 米国では1989年にAmerican Physical Therapy Associationにより,転倒を含むバランス障害への理解を深め,理学療法による臨床介入を発展させるためのフォーラムが開催された.日本では1990年代初期から高齢者転倒とその予防に関する本格的な研究が始まっている.転倒の定義には「意志とは無関係に,足底以外の身体のある部分が床や地面に触れる」といった狭義のものから,転びそうになって,「物にもたれ」たり「椅子から立ち上がれず再び座り込む」ものも含める広義のものまでがある.転倒要因には感覚や身体機能・能力の低下,服薬,認知力などを中心とする内在性要因と,引っかけやすい電源コードや絨毯の捲れ,段差,不整地面,滑面,照度不足などの,主に環境による外在性要因があり,両要因の見極めが重要である.
転倒を回避するには抗重力姿勢を保持し,重心線を支持基底面内に確保するか,歩行のような動的条件では新たな支持基底面を作り出す必要がある.内在性の転倒要因を有する高齢者には,主として筋骨格系とバランス再獲得のアプローチが行われる.打撲や骨折に至るような大きなバランスの崩れを避けるには上肢による支持で新たな支持基底面を創生することが必要な場合があり,下肢と脊柱だけでなく,上肢へのアプローチも必要である.ただし,関節可動域の改善は矯正ではなく自動運動を基本とする.
転倒を回避するには抗重力姿勢を保持し,重心線を支持基底面内に確保するか,歩行のような動的条件では新たな支持基底面を作り出す必要がある.内在性の転倒要因を有する高齢者には,主として筋骨格系とバランス再獲得のアプローチが行われる.打撲や骨折に至るような大きなバランスの崩れを避けるには上肢による支持で新たな支持基底面を創生することが必要な場合があり,下肢と脊柱だけでなく,上肢へのアプローチも必要である.ただし,関節可動域の改善は矯正ではなく自動運動を基本とする.
参考文献
1)Lastayo PC, et al:The positive effects of negative work:increased muscle strength and decreased fall risk in a frail elderly population. J Gerontol A Biol Sci Med Sci 58:M419-424, 2003
2)Shumway-Cook A, et al:モーターコントロール―運動制御の理論と臨床応用第2版,田中 繁,他(監訳).pp287-323,医歯薬出版,2004
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