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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル40巻8号

2006年08月発行

文献概要

特集 歩行練習

低酸素脳症患者の歩行練習

著者: 尾谷寛隆1

所属機関: 1国立循環器病センターリハビリテーション部

ページ範囲:P.635 - P.641

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低酸素脳症の成因と病態生理

 脳は低酸素状態に極めて弱い臓器である.低酸素状態により引き起こされる様々な中枢神経症候を“低酸素脳症”と呼ぶ1).低酸素脳症の成因には,①脳血流低下によるもの(心停止など循環不全によるもの),②呼吸障害によるもの,③貧血によるもの,④細胞内の呼吸酵素系障害によるものなどがある(表1)2)

 大脳皮質,海馬,小脳,大脳基底核などは低酸素状態に非常に脆弱な部位であるため,低酸素脳症ではこれらの部位が特に損傷されやすい.さらに循環不全に起因する脳血流の低下による低酸素脳症では,血行動態の違いにより損傷を受けやすい領域があり,大脳では前・中・後大脳動脈領域支配の分水嶺(watershed)である頭頂-後頭葉接合部や側頭-後頭葉接合部などがこれに相当する.

参考文献

1)山口武典,他:低酸素脳症.Clin Neurosci 11:86-88,1997
2)杉原 浩:1.低酸素脳症の病理と病態生理.吉尾雅春(編):理学療法MOOK1 脳損傷の理学療法1 第2版,pp142-146,三輪書店,2005
3)今井 保:2.低酸素脳症と理学療法.吉尾雅春(編):理学療法MOOK1 脳損傷の理学療法1 第2版,pp147-155,三輪書店,2005
4)栢森良二,三上真弘:実例リハビリテーション処方のポイント―ミオクローヌス症状の強い低酸素脳症患者のリハビリテーション.臨床リハ10:800-804,2001
5)鉄田 徹,他:低酸素脳症のMRI像―拡散強調像の有用性について―.綜合臨牀49:2723-2727,2000
6)中馬越清隆,他:低酸素脳症により前頭葉性歩行失行を呈し,自然経過にて歩行の改善を認めた1例.脳神経49:455-459,1997
7)中島恵子,他:一低酸素脳症患者への認知リハビリテーション―大学復学へ向けた援助.総合リハ29:161-167,2001
8)宮崎晶子,他:視覚運動協調障害と同時失認を呈した低酸素脳症の1例について.認知リハビリテーション2004:72-77,2004
9)真木寿之:Ⅰ.血管障害 その他 血管性パーキンソニズム.別冊日本臨牀(領域別症候群)26:357-360,1999
10)柳澤信夫,他:歩行失行と起立・歩行障害.臨床神経33:1310-1312,1993
11)柴 喜崇:パーキンソン病に対する理学療法のキーポイント.理学療法19:828-835,2002
12)橋本圭司,他:重度認知・行動障害者に対する相互乗り入れチームアプローチ.リハ医学39:253-256,2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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