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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル40巻8号

2006年08月発行

文献概要

特集 歩行練習

著明な円背を伴う高齢者の歩行練習

著者: 峯貴文1 立花孝1

所属機関: 1信原病院リハビリテーション科

ページ範囲:P.649 - P.654

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はじめに

 高齢者を観察すると,背中を丸くして歩行する姿を多く見かける.その姿勢は円背と呼ばれ,①骨粗鬆症による脊柱変形,②腰背筋萎縮による筋力不全,③椎間板の変性といった脊柱支持組織の加齢変化や,農作業などの前屈中腰作業,畳生活といった長年の労働・生活環境などにより脊柱の後彎が拡大することによって起こる1)

 円背の発生頻度は,若松の11.8%,有田の31%などの報告があり,高齢者に最も多い姿勢異常である2).円背姿勢での歩行を見ていると,ついつい「もっと胸を張って」と声をかけたくなってしまう人は多いのではないだろうか.確かに胸を張った姿勢のほうが見た目は良いかもしれないが,はたしてその人にとって適しているかは疑問である.

 脊柱カーブの変化がもたらす影響は大きく,上下肢の関節アライメントを変化させ,姿勢の安定化を図っている.歩行は姿勢変化が周期的に連続して起こるものであるため,立位姿勢におけるアライメントの変化が歩行形態・歩行中の筋活動に及ぼす影響は大きい.したがって,身体的特徴を把握し,歩行能力を分析した上で理学療法を行うことが重要である.

 本稿では,まず円背の身体的特徴とメカニズムを通して歩行に及ぼす影響について考える.次に円背患者の歩行能力の変化に対応した運動療法の進め方,および補助具選択について検討していく.

参考文献

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3)山口義臣,他:日本人の姿勢.第2回姿勢シンポジウム論文集:15-33,1977
4)仲田和正:老人の姿勢の研究.日整会誌62:1149-1161,1988
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6)原田 孝,他:高齢者の姿勢―脊柱変形と重心線の位置―.総合リハ22:133-136,1994
7)Floyd WF, Silver PHS:Function of the erectores spinae in flexion of the trunk. Lancet 260:133-134, 1951
8)Murray MP, et al:Walking patterns in healthy old men. Gerontol 24:169-178, 1969
9)徳田哲男:高年齢者の歩行.理・作療法20:347-352,1986
10)伊東 元,他:健常老年者における最大歩行速度低下の決定因―重心動揺と歩行率の関連.理学療法学17:123-125,1990
11)植松光俊,他:高齢女性の自由歩行における下肢関節モーメント.理学療法学24:369-376,1997
12)草苅佳子,他:円背姿勢が呼吸循環反応ならびに運動耐容能に及ぼす影響.理学療法科学18:187-191,2003
13)中野哲雄:脊椎圧迫骨折の合併症,臨床リハ14:989-995,2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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