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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル40巻9号

2006年09月発行

文献概要

特集 理学療法と連携

回復期病棟からみたリハビリテーション連携の現状と課題

著者: 島村耕介1 御代川英己1 木下牧子1

所属機関: 1初台リハビリテーション病院

ページ範囲:P.727 - P.736

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はじめに

 医療・介護保険制度の急速な整備がなされる昨今,リハビリテーション(以下,リハ)サービスも急性期,回復期,維持期の流れが整備され,図1に示されたような地域連携パスのイメージは普及しつつある.

 今回の診療報酬・介護報酬のダブル改定で,医療保険については,算定日数制限が設けられ,長期にわたる入院リハサービスの提供は困難となった.その反面,患者1日あたりの実施単位数の上限が緩和,リハ従事者1人・1日あたりの実施単位上限もややフレキシブルとなり,急性期・回復期とも人員を配置すれば発症早期に集中的なリハを行うことも可能となった.また,維持期の介護報酬においては,退院・退所後早期の頻回訪問への評価,リハ・マネジメント料の新設などの居宅リハサービスの整備が推進される形となった.

 これは,回復期リハ,居宅リハサービスなど受け皿の基盤整備とともに,より早期に集中的なリハサービスを行うことが加速的に求められるものと解釈できる.その中で回復期リハ病棟への早期入院,退院の早期化への対応は必須条件である.同時に質の担保,コスト,アウトカムがより厳しく求められているとも言える.そのためには,急性期病院と回復期リハ病棟との病病連携,回復期リハ病棟からは病診連携や居宅支援サービスとの連携が重要となる.また,急性期から維持期までの時間軸で,各時期に求められる理学療法サービスはそれぞれの特徴に応じたさらなる機能分化や専門化が必要であるが,対象者側に立った連続性をもつサービス提供がなされているかについては疑問の残るところである.

 そのような中で,回復期リハの使命は,急性期病院からの迅速な受け入れ(亜急性期の十分な医学的管理),必要かつ十分な集中的リハ医療サービスの提供(病棟を基盤としたチームアプローチにより短期的にADLを改善すること),可能な限り家庭復帰を推進すること(在宅ケアへのソフトランディング)と述べられている1)

 回復期リハ病棟の役割は,岡持らも述べているように急性期から在宅への橋渡しであり2),そこでは,上記の目的に沿ったサービスの提供が望まれる.その中で展開される理学療法も同様の視点が求められる.回復期リハを担う当院においても,サービス提供を行う中で急性期,維持期との連携の課題がわずかながら見えてきた.本稿では,回復期リハ病棟の現状を踏まえ,当院での取り組みを例にとって,連携のあり方について述べる.

参考文献

1)回復期リハ病棟連絡協議会(2002)
2)岡持利亘:回復期リハ病棟の役割 急性期病棟から在宅への橋渡し.GPnet 49:31-35,2002
3)回復期リハビリテーション病棟連絡協議会:回復期リハビリテーション病棟の現状と課題に関する調査報告書(2006年版)
4)高齢者介護研究会報告書:2015年の高齢者介護,2003
5)石川 誠:回復期リハビリテーション病棟連絡協議会全職種研修会資料,2006
6)里宇明元,他(編):リハビリテーション医学,pp144-153,先端医療技術研究所,2005
7)三好邦達,他(編):早期リハビリテーションマニュアル,pp12-18,三輪書店,1995
8)篠原幸人,他(編):脳卒中治療ガイドライン2004,pp178-182,協和企画,2004
9)大西祥平:体力の概念と評価.総合リハ26:409-142,1998
10)竹内孝仁(編):介護予防,pp13-18,医歯薬出版,2002
11)久保 晃,他:高齢者の体力評価,PTジャーナル31:352-356,1997
12)第6回高齢者リハビリテーション研究会資料(2004)
13)澤村誠志:障害者が地域社会で積極的に生活するため地域リハの連携・強化を.GPnet 50:22-25,2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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