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特集 理学療法と連携
回復期病棟からみたリハビリテーション連携の現状と課題
著者: 島村耕介1 御代川英己1 木下牧子1
所属機関: 1初台リハビリテーション病院
ページ範囲:P.727 - P.736
文献購入ページに移動医療・介護保険制度の急速な整備がなされる昨今,リハビリテーション(以下,リハ)サービスも急性期,回復期,維持期の流れが整備され,図1に示されたような地域連携パスのイメージは普及しつつある.
今回の診療報酬・介護報酬のダブル改定で,医療保険については,算定日数制限が設けられ,長期にわたる入院リハサービスの提供は困難となった.その反面,患者1日あたりの実施単位数の上限が緩和,リハ従事者1人・1日あたりの実施単位上限もややフレキシブルとなり,急性期・回復期とも人員を配置すれば発症早期に集中的なリハを行うことも可能となった.また,維持期の介護報酬においては,退院・退所後早期の頻回訪問への評価,リハ・マネジメント料の新設などの居宅リハサービスの整備が推進される形となった.
これは,回復期リハ,居宅リハサービスなど受け皿の基盤整備とともに,より早期に集中的なリハサービスを行うことが加速的に求められるものと解釈できる.その中で回復期リハ病棟への早期入院,退院の早期化への対応は必須条件である.同時に質の担保,コスト,アウトカムがより厳しく求められているとも言える.そのためには,急性期病院と回復期リハ病棟との病病連携,回復期リハ病棟からは病診連携や居宅支援サービスとの連携が重要となる.また,急性期から維持期までの時間軸で,各時期に求められる理学療法サービスはそれぞれの特徴に応じたさらなる機能分化や専門化が必要であるが,対象者側に立った連続性をもつサービス提供がなされているかについては疑問の残るところである.
そのような中で,回復期リハの使命は,急性期病院からの迅速な受け入れ(亜急性期の十分な医学的管理),必要かつ十分な集中的リハ医療サービスの提供(病棟を基盤としたチームアプローチにより短期的にADLを改善すること),可能な限り家庭復帰を推進すること(在宅ケアへのソフトランディング)と述べられている1).
回復期リハ病棟の役割は,岡持らも述べているように急性期から在宅への橋渡しであり2),そこでは,上記の目的に沿ったサービスの提供が望まれる.その中で展開される理学療法も同様の視点が求められる.回復期リハを担う当院においても,サービス提供を行う中で急性期,維持期との連携の課題がわずかながら見えてきた.本稿では,回復期リハ病棟の現状を踏まえ,当院での取り組みを例にとって,連携のあり方について述べる.
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