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報告
片麻痺症例の歩行自立の判定に関するfunctional reachの有用性
著者: 成田寿次1 小山内隆1 長岡和宏1
所属機関: 1東京都板橋ナーシングホームリハビリテーション室
ページ範囲:P.751 - P.754
文献購入ページに移動脳血管障害(以下,CVA)による片麻痺症例は,歩行が自立しにくい,歩行速度が遅い,長距離歩行が行えないなど,様々な能力障害を来すことが多い.これらの歩行能力を阻害する主な要因としては,麻痺の重症度および筋力,筋緊張の異常,感覚障害,立位バランス能力の低下などが挙げられる1~4).その中でも,立位での支持基底面内における随意的な前後,左右への重心移動距離と歩行能力との関連性が指摘されている1~4).この立位バランス能力を評価する方法として,臨床場面において測定機器を使わずに定量的で信頼性の高いDuncanらにより提唱されたfunctional reach(以下,FR)5,6)が適していると考える.しかし,CVA症例におけるFRを用いた報告は,散見されるがまだ少なく,臨床評価として頻繁に使用するためにも,多面的な角度から多くの報告が必要であると考える.健常高齢者においては,FRによる転倒を予測するカットオフ値が報告されている6).同様にCVA症例においても歩行自立に必要な値が定まれば,臨床場面における目標値の1つとなり,有用な判断材料になると考える.そこで,今回,われわれは,CVA症例の歩行自立とFR値に関して調査したので報告する.
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