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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル40巻9号

2006年09月発行

文献概要

1ページ講座 理学療法関連用語~正しい意味がわかりますか?

体力

著者: 大倉三洋1

所属機関: 1高知リハビリテーション学院

ページ範囲:P.759 - P.759

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 体力(physical fitness)は「人間の活動や生存の基礎となる身体的能力」あるいは「いかなる環境にも適応し,かつ作業することのできる身体的能力」などと定義されている.猪飼1)は体力を身体的要素と精神的要素に分け,それぞれを行動体力と防衛体力に分けている(図1).また石河1)は身体的要素に重点を置いて,行動体力を①行動を起こす能力(筋力,筋パワー),②行動を持続する能力(筋持久力,全身持久力),③行動を調節する能力(平衡性,敏捷性,巧緻性,柔軟性)に分類し,また防衛体力を外界からの種々のストレスに対する抵抗力と定義し,ストレッサーの種類により①物理化学的ストレス(暑熱,寒冷,気圧,振動,化学物質),②生物的ストレス(細菌,ウイルス,微生物),③生理的ストレス(運動,空腹,口渇,不眠,疲労),④精神的ストレス(不快,苦痛,恐怖,不満)に対する抵抗力に分けている.しかし,体力は多彩な側面を持っており,体力の果たす役割や意義は①時代や社会的背景,②ライフステージ,③生活環境やライフスタイル,④心身の状況,などによって大きく異なるものである.

◎健康の基盤としての体力2)

 機械化や情報化の進んだ現代社会では,快適で利便性の高い生活が実現されるようになった反面,①運動不足,②精神的なストレスの増大,③生活習慣病や新たな職業病の増加,など心身両面にわたる健康上の問題が大きな社会問題となっている.このような現代社会においては,これらを予防し,健康を維持・増進させるための体力,すなわち健康の基盤としての体力要素として,①全身持久力,②筋力・筋持久力,③身体組成,④柔軟性などが重要視される.

参考文献

1)青木純一郎,他:日常生活に生かす運動処方,pp59-60.杏林書院,1982
2)大倉三洋,他:理学療法における体力測定の意義.理学療法22:7-13,2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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