icon fsr

文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル40巻9号

2006年09月発行

文献概要

報告

体軸回旋テストと歩幅との関係―自動体幹テストの臨床的意義

著者: 城下貴司1 野村紗弥可2 松浦武史2

所属機関: 1増本整形外科クリニック 2独立行政法人国立病院機構村山医療センターリハビリテーション科

ページ範囲:P.783 - P.788

文献購入ページに移動
 ヒトの二足歩行は,安定した身体回旋中心軸(以下,体軸)が左右交互に回旋することで左右の歩幅に反映され,有効的に前方移動動作へと変換されるが,臨床では体軸が一定しておらず不安定な歩容を呈する症例をよく経験する.

 歩行における骨盤回旋動作の重要性を,Saundersら1)はコンパス歩行という理論的模型を用いて,「骨盤回旋が欠如された歩行は,重心の上下運動が大きく出現し効率的な動きが阻害される」と説明している.横山ら2)は歩行動作における肩甲帯や骨盤帯の回旋動作について,肩甲帯の回旋と骨盤帯の回旋は同時に相反するパターンとはならない位相のずれを認めたと報告している.この位相のずれについて,小川3)は「位相のずれが1歩行時の1/2周期でなく約1/4周期であることは,骨盤の前進と上肢の振りが1歩行周期の1/2周期ずれていれば,もっとも体軸の捻転バランスをとりやすいために肩甲帯部は上肢に先行して捻転を起こし,このときの位相のずれが約1/4周期である」とし,この位相のずれによる逆回旋を,大里ら4,5)はcounter-rotationと呼んでいる.その他,歩行動作において各部位での回旋運動の報告6~10)がある.

参考文献

1)Saunders JB, et al:The major determinants in normal pathological gait. J Bone Joint Surg Am 35:543-558, 1953
2)横山茂樹,他:歩行時における肩甲帯・骨盤帯の動き.PTジャーナル25:76-81,1990
3)小川正二:ストロボ撮影による正常成人歩行の研究.日整会誌34:513-535,1960
4)大里祐治,他:歩行時における体幹回旋運動と上肢の運動の関与.日整会誌64:1346,1990
5)Ohsato Y:Relationships between Trunk Rotation and Arm Swing in Human Walking. J Jpn Orthop Assoc 67:440-448, 1993
6)Gregersen GG, Lucas DB:An in vivo study of axial rotation of the human thoracolumbar spine. J Bone Joint Surg Am 49:247-262, 1967
7)Murray MP:Gait as a total pattern of movement. Am J Phys Med 46:290-333, 1967
8)Murray MP, et al:Walking patterns of normal men, J Bone Joint Surg Am 46:335-360, 1964
9)Inman VT:Human locomotion. Can Med Assoc J 94:1047-1054, 1966
10)Watanabe S, et al:An analysis of three-dimensional trunk and leg movements in gait of normal subjects. Jikeikai Med J 43:255-62, 1996
11)黒澤 尚,他:スポーツ外傷学 下肢Ⅳ,p334,医歯薬出版,2001
12)川野哲英,他:足底板処方の実際.Sportsmedicine Quarterly 1:8-59,1995
13)城下貴司,他:歩幅と体軸回旋系との関係についての検討.第22回関東甲信越ブロック理学療法士学会誌:36,2003
14)野村紗弥可,他:体軸回旋系可動域テストの比較,第22回関東甲信越プロック 理学療法士学会誌:37,2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?