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書評
―今川忠男(監訳)―「脳性まひ児の24時間姿勢ケア」
著者: 福井勉1
所属機関: 1文京学院大学保健医療技術学部
ページ範囲:P.781 - P.781
文献購入ページに移動 本著は訳者,今川氏の所属する旭川児童院とChailey Heritage Clinical Serviceが長年協力して築きあげた療育概念を体系化したものである.重度な神経学的障害を有する脳性まひの子どもに対する評価・治療・サポート体制を著している.
背臥位,腹臥位,床上座位,椅子座位,立位に分けたレベルを明確化している姿勢能力発達レベルは,客観的評価のため正常運動発達で用いるモデルを使用している.これは神経学的な機能障害の徴候ではなく到達した発達段階に重点が置かれているようであり,ICFの流れを汲んでいるように見える.なかでも姿勢能力の評価と発達レベルを具体的に記述し,さらに評価方法を明確化していることが特筆すべき点である.臨床的知見を基に具体化した評価方法を明文化するまでのプロセスは,時間的にも経済的にも膨大なものであったであろうことが容易に予想される.具体的基準を著作にすることは,臨床家としての責任や誇りを持たずにはできない仕事であろうと感じさせられた.運動器疾患で仕事をしてきた私のような者には,意外にもバイオメカニカルな視点が大きいことに親近感を覚え,その運動の質向上と,さまざまなサポートシステムの記述には分野によらず参考になることが多かった.姿勢ケアは24時間行うものであることを前提に,遊ぶための姿勢,寝るための姿勢,支持器具,膝ブロック,装具,歩行器,三輪車などに対する工夫は,実際に生活している子どもが想像しやすく,必要なことから標準化された印象を持った.子どもにとって本当に必要なミニマムスタンダードが何気なく書かれているところに,この著書へ投入されたエネルギーの奥深さと,長い年月の苦闘のようなものを感じた.脳性まひの子どもに長年携わっている人達にも,自分の辿ってきた道のりを確かめる良い機会になるのではないだろうか.
背臥位,腹臥位,床上座位,椅子座位,立位に分けたレベルを明確化している姿勢能力発達レベルは,客観的評価のため正常運動発達で用いるモデルを使用している.これは神経学的な機能障害の徴候ではなく到達した発達段階に重点が置かれているようであり,ICFの流れを汲んでいるように見える.なかでも姿勢能力の評価と発達レベルを具体的に記述し,さらに評価方法を明確化していることが特筆すべき点である.臨床的知見を基に具体化した評価方法を明文化するまでのプロセスは,時間的にも経済的にも膨大なものであったであろうことが容易に予想される.具体的基準を著作にすることは,臨床家としての責任や誇りを持たずにはできない仕事であろうと感じさせられた.運動器疾患で仕事をしてきた私のような者には,意外にもバイオメカニカルな視点が大きいことに親近感を覚え,その運動の質向上と,さまざまなサポートシステムの記述には分野によらず参考になることが多かった.姿勢ケアは24時間行うものであることを前提に,遊ぶための姿勢,寝るための姿勢,支持器具,膝ブロック,装具,歩行器,三輪車などに対する工夫は,実際に生活している子どもが想像しやすく,必要なことから標準化された印象を持った.子どもにとって本当に必要なミニマムスタンダードが何気なく書かれているところに,この著書へ投入されたエネルギーの奥深さと,長い年月の苦闘のようなものを感じた.脳性まひの子どもに長年携わっている人達にも,自分の辿ってきた道のりを確かめる良い機会になるのではないだろうか.
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