リハビリテーション病院における外来理学療法の現状と展望
著者:
草苅尚志
,
大田健太郎
,
福田之紘
,
高橋芳徳
,
下斗米貴子
ページ範囲:P.809 - P.814
はじめに
2006年度の医療保険,介護保険における報酬制度の改定により,発症直後からの早期のリハビリテーションの重要性が見直され,急性期から回復期における集中的なリハビリテーションの効果が評価された.その中で,心身機能,諸活動の早期改善を目指すために,リハビリテーション料を疾患別に再編成するとともに,適用除外対象患者を設定した上で,算定日数に上限が設けられた.さらに2007年度には,診療報酬改定結果検証部会におけるリハビリテーション料の検証結果を踏まえ,2006年度改定の趣旨に則り,よりきめの細かい対応を行うためとして,①算定日数上限の除外対象患者の範囲拡大,②リハビリテーション医学管理料の新設,③疾患別リハビリテーション料への逓減制導入などの見直しが行われ,医療保険と介護保険の役割が明確にすみわけされた.
制度の改定に至った背景には,2004年1月に高齢者リハビリテーション研究会1)より現状と課題として提示された,①最も重点的に行われるべき急性期リハビリテーション医療が不十分である,②長期間にわたる効果が明らかでないリハビリテーション医療が行われている,③医療から介護への連続するシステムが機能していない,④リハビリテーションとケアとの境界が明確に区別されておらず,リハビリテーションとケアが混同して提供されている,⑤在宅リハビリテーションが不十分である,との報告があり,それに医療費の適正化を盛り込んだことが改定の主旨に大きく影響している.
これらの度重なる改定を受けて,維持期のリハビリテーションにおける在宅リハビリテーションの一形態としての役割を担ってきた外来理学療法の在り方は大きく変貌してきている.外来リハビリテーションとは,早期に主目標を達成し,高いレベルに到達するために,入院に引き続いて行うリハビリテーションで,漠然と維持を目的として行うものではない2)とされており,適正な期間および目的を設定して提供されるサービスとして位置づけられている.そのような中,当院における外来理学療法の患者数は年々増加の一途を辿っていったのが現状であったが,制度の改定に伴い患者数や頻度,また他のサービスの利用状況などに変化がみられてきている.
そこで,本稿では筆者らのこれまでの関わり方を振り返り,当院に求められる外来理学療法の在り方を再考したので報告する.