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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル41巻10号

2007年10月発行

文献概要

講座 「複雑系」と理学療法・1【新連載】

複雑系科学と理学療法の関わり

著者: 久保雅義1

所属機関: 1新潟医療福祉大学医療技術学部理学療法学科

ページ範囲:P.853 - P.859

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はじめに

 今回のテーマである「複雑系の科学と理学療法」は,おそらく「月とスッポン」(別に理学療法がスッポンという意図ではありません)と同じ程度か,あるいはそれ以上に共通点のないもののように思えます.一方が散逸構造理論1)とかカタストロフィー理論2)というようなまったく生活感のないものであるのに対し,理学療法では片麻痺患者のいすからの立ち上がり練習というように,まさに生活感あふれる日常を対象としており,その間にとても関係があるようには思えません.しかし,17世紀生まれのニュートン力学がバイオメカニクスの基礎となり,現在の理学療法が大いにその恩恵を受けていることを考えると,21世紀の科学ともいえる複雑系の科学がいつの日か理学療法に寄与する可能性がないとはいえません.本稿では複雑系の科学のトピックスのうちいくつかに触れ,それらの考え方が遠い将来にではなく,既に現在の理学療法を支える概念において影響をみせはじめているという視点から進めていきたいと思います.

参考文献

1)Nicolis G, et al(著),安孫子誠也,他(訳):複雑性の探求,みすず書房,1993
2)Thom R:Structural stability and morphogenesis, Benjamin-Addison-Wesley, New York, 1975
3)Carr JH, et al:Stroke rehabilitation-guidelines for exercise and training to optimize motor skill, Elsevier, Amsterdam,2003
4)三嶋博之:“またぎ”と“くぐり”のアフォーダンス知覚.心理学研究 64:469-475, 1993
5)Kaplan D, et al:Understanding nonlinear dynamics, Springer-Verlag, New York, 1995
6)Turvey MT:Coordination. Am Psychol 45:938-953, 1990

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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