理学療法ジャーナル41巻11号

2007年11月発行

特集 メタボリックシンドロームと理学療法 ケースレポート

5．メタボリックシンドロームに対する理学療法士養成校での教育の実際

著者： 大平雅美¹

所属機関： ¹信州大学医学部保健学科理学療法学専攻

ページ範囲：P.915 - P.920

はじめに

　運動を中心とした生活習慣改善の指導は，メタボリックシンドローム（metabolic syndrome：MetS）の管理において重要な位置づけを占めており^1），理学療法士も活躍すべき領域である．しかし，わが国の診断基準が発表された2005年以降の理学療法学術大会での関連報告は，5演題とまだ少ない．この一因として，理学療法の歴史的背景，疾病予防（一次予防）領域での実績不足とともに，卒前教育の問題が考えられる．そこで，本稿では筆者らが行ってきたメタボリックシンドロームに関連する生活習慣病予防・治療に関する学内での教育内容や，教育方法の現状と課題について述べる．

参考文献

1）松澤佑次（監修）：メタボリックシンドローム実践マニュアル，pp73-87，フジメディカル出版，2005

2）日本理学療法士協会白書委員会：理学療法2000―21世紀の理学療法に向けて，日本理学療法士協会，pp27-42，2001

3）日本理学療法士協会白書委員会：理学療法2005―理学療法士の将来像を考える，日本理学療法士協会，pp30-44，2006

4）乾　公美：4年制大学における理学療法カリキュラムの特性．PTジャーナル 31：89-96，1997

5）嶋田智明，他：教育から見た理学療法モデルの意義と実践―「理学療法教育モデル」とその実践の歴史的変遷．PTジャーナル 38：384-390，2004

6）鎌田　實：長野県が日本で一番老人医療費が安い理由．治療 79：2321-2327，1997

7）磯村孝二：老人の地域ケアーを考える　医師の立場より．理学療法学 12：125-128，1985

8）隅田俊子：老人保健法と地域リハビリテーション佐久総合病院における取り組み．理療 18：20-26，1988

9）木原秀樹：脳性麻痺の理学療法トピックス　脳性麻痺の療育ネットワーク．理学療法 24：464-468，2007

10）木村貞治：身体障害者スポーツと理学療法　長野冬季パラリンピック活動報告　身障者スポーツ分野での理学療法士の役割と課題．理学療法 16：810-816，1999

11）Reaven GM：Banting lecture 1988. Role of insulin resistance in human disease. Diabetes 37：1595-1607, 1988

12）Kaplan NM：The deadly quartet. Upper-body obesity, glucose intolerance, hypertriglyceridemia, and hypertension. Arch Intern Med 149：1514-1520, 1989

13）Sakamoto K, Goodyear J：Exercise Effect on Muscle Insulin Signaling and Action Invited Review：Intracellular signaling in contracting skeletal muscle. J Appl Physiol 93：369-383, 2002

14）佐藤秀一，他：脳血管障害を合併した糖尿病患者の神経伝導速度に影響を及ぼす因子について．北海道理学療法 9：19-21，1992

15）豊田　輝，他：当院において治療を施行した下肢切断者の実態調査．JRリハビリテーション医療学会誌 25：45-48，1999

16）石黒友康，他：糖尿病神経障害の自覚症状と神経機能の検査成績及び診断精度との関連直接面接法による検討．糖尿病 45：695-698，2002

17）河辺信秀，他：糖尿病性足部潰瘍の危険因子に対する装具療法の効果．理学療法学 31：296-303，2004

18）海老原泰代，他：地域保健における体験学習を用いた糖尿病予防教室の効果　血糖コントロール，食生活，運動の行動変容に及ぼす影響．プラクティス 20：593-598，2003

19）中屋久長：問われる理学療法士教育．理学療法 21：1498-1507，2004