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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル41巻11号

2007年11月発行

文献概要

症例報告

応用行動分析学に基づく入浴動作練習法の検討―高次脳機能障害を有する脳血管障害患者に対する介入効果

著者: 宮本真明1 長光恵1 鈴木誠2 森下史子3

所属機関: 1渕野辺総合病院リハビリテーション室 2川崎市立多摩病院リハビリテーション科 3済生会横浜市東部病院リハビリテーションセンター

ページ範囲:P.941 - P.945

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 要旨:応用行動分析学に基づいた日常生活活動練習により,左半側空間無視と全般性注意障害,病識の低下を主症状とする高次脳機能障害を呈した症例の入浴動作が改善するかについて,シングルケースデザインを用いて検討した.介入に先立ち,日常生活活動練習の個別性を考慮し,症例に即した入浴動作チェック表を作成した.先行刺激として入浴動作において認められた粗雑動作および危険行動を10項目に細分化し,明確な目標を設定した.また,時間遅延法を用い,自発的な目標行動の出現を促し,行動の改善が認められた場合には,賞賛とグラフの提示を行い強化刺激とした.

 その結果,粗雑動作・危険行動が減少したことから,応用行動分析学に基づき先行刺激と後続刺激を整備した入浴動作練習は,本症例に対し効果的であったと考えられた.また,明確な目標の設定は高次脳機能障害を呈した本症例におけるモチベーションの維持にも効果的であった可能性が考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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