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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル41巻11号

2007年11月発行

文献概要

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編集後記

著者: 高橋哲也

所属機関:

ページ範囲:P.958 - P.958

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 今年は本当に暑い夏でした.群馬から神戸に移り,「なんて関西は暑いんだ」と関西を悪者にしていましたが,関西の人にとってもこの夏の暑さは特別とのことでした.どうやらわれわれが想像する以上に,地球の温暖化は深刻なようです.先日,映画「不都合な真実」に出演しているアル・ゴア元アメリカ副大統領が,地球温暖化に対する活動が評価され,ノーベル平和賞を受賞しました.

 本号の特集は,編集同人からも希望の多かった「メタボリックシンドローム」を取り上げました.来年4月より特定健診等の義務化が実施されます.しかし,残念なことに,「食生活・運動に関する対象者の支援計画に基づく実践的指導」を行う職種に,理学療法士が明記されていません.

 最近,私が愛する理学療法とは何であるのか,よく考えることがあります.昭和40年制定の理学療法士法によると,「理学療法とは,身体に障害のあるものに対して,主としてその基本的動作能力に回復を図るため,治療体操その他の運動を行わせ,及び電気刺激,マッサージ,温熱その他の物理的手段を加える治療法をいう」とされています.一方,世界101か国27万人が加盟する世界理学療法連盟の記述,The nature of Physical Therapy(理学療法の本質)によると,「理学療法とは健康増進や予防,治療,リハビリテーションを通じて人間の活動の潜在能力を最大限に引き出すこと(Physical therapy is concerned with identifying and maximising movement potential, within the spheres of promotion, prevention, treatment and rehabilitation)」とあります.日本は国民総生産世界第2位の経済大国にもかかわらず,理学療法に関しては知らず知らずのうちに狭い範囲での活動を強いられてしまっているようですが,理学療法士は,脳血管疾患や心疾患などを発症した患者に対しては,身体機能や日常生活活動の回復に加えて,疾患の悪化や再発予防のための指導,メタボリックシンドロームへの対応を通して,対象者のさらなる健康増進にも責任を持つ必要があると思います.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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