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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル41巻12号

2007年12月発行

文献概要

特集 大腿骨―整形外科的治療と理学療法

大腿骨転子部骨折・転子下骨折の整形外科的治療法と理学療法

著者: 大谷真琴1

所属機関: 1熊本機能病院総合リハビリテーション部

ページ範囲:P.975 - P.981

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はじめに

 わが国ではこれまで,高齢者の大腿骨近位部の骨折は,大腿骨頸部内側骨折(関節包内骨折)と大腿骨頸部外側骨折(関節包外骨折)に分類し,両者を含めて大腿骨頸部骨折と呼称してきた.これに対して,最近の多くの欧米文献では,大腿骨頸部内側骨折をfemoral neck fracture(大腿骨頸部骨折),大腿骨頸部外側骨折をtrochanteric fracture(転子部骨折)・intertrochanteric fracture(転子間骨折)・subtrochanteric fracture(転子下骨折)と呼称している1).実際には,転子部骨折と転子間骨折は同義語として扱われ,2つを合わせて大腿骨転子部骨折と呼ぶことが多いようである.

 大腿骨近位部骨折の中でも,大腿骨転子部骨折・転子下骨折は骨粗鬆症をもつ高齢者に多く,整形外科を標榜する病院ではしばしばみかける疾患である.近年,医療保険ではリハビリテーション算定日数上限が設けられ,われわれ理学療法士には,術後の限られた日数の中で治療効果を上げることが求められている.

 本稿では,大腿骨転子部骨折・転子下骨折に対する代表的な手術療法と理学療法について解説する.また,当院における大腿骨転子部骨折・転子下骨折後の調査結果と,高齢者の筋力と動作能力の維持・獲得に対する具体的取り組みについて述べる.

参考文献

1)厚生労働省医療技術評価総合研究事業「大腿骨頸部骨折の診療ガイドライン作成」班:大腿骨頸部/転子部骨折診療ガイドライン,南江堂,2005
2)江藤文夫,他:骨折の治療とリハビリテーション,南江堂,2003
3)徳永純一:大腿骨転子部骨折の骨折型分類―各種分類法発案の回顧と不安定型定義の考察.MB Orthopaedics 13(5):12-20,2000
4)鈴木浩之,高田直也:大腿骨転子部骨折の治療戦略.MB Orthopaedics 20(1):9-16,2007
5)生田拓也:大腿骨近位端骨折に対するCHS法.関節外科 23:1585-1594,2004
6)猪飼哲夫:大腿骨頸部骨折の術後疼痛.臨床リハ 14:830-834,2005
7)坪山直生:大腿骨近位部骨折の発生機序.関節外科 23:1534-1537,2004
8)野尻晋一:リハビリテーションからみた介護技術,中央法規,2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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