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講座 理学療法士の卒前教育・3
卒前教育における問題基盤型学習(PBL)導入の試み
著者: 河西理恵1
所属機関: 1独立行政法人国立病院機構東京病院附属リハビリテーション学院理学療法学科
ページ範囲:P.241 - P.247
文献購入ページに移動はじめに
近年,医療を取り巻く環境の急速な変化により,理学療法の対象領域が広がり,対象者のニーズも多様化している.その結果,理学療法士にはより高度で幅広い専門能力が求められており,こうした状況に対応すべく,理学療法学教育の現場でも学生の臨床能力を高める様々な教育方法の模索が続いている.
その一例として,1960年代にカナダのMcMaster大学医学部のBarrowsら1)により開発された問題基盤型学習(problem-based learning:以下,PBL)がある.その後,1980年代後半,同大学理学療法学部で導入され,それを機に欧米を中心に多くの理学療法士養成施設で広まった.また,昨今わが国でもPBLに関する報告が聞かれるようになっている.
本稿では,PBLの概要について述べ,さらに筆者らが実践しているPBLの実施状況や,PBLの最近の動向ならびにエビデンスについて紹介し,今後のわが国の理学療法学教育におけるPBL導入に向けた課題や展望について検討したい.
近年,医療を取り巻く環境の急速な変化により,理学療法の対象領域が広がり,対象者のニーズも多様化している.その結果,理学療法士にはより高度で幅広い専門能力が求められており,こうした状況に対応すべく,理学療法学教育の現場でも学生の臨床能力を高める様々な教育方法の模索が続いている.
その一例として,1960年代にカナダのMcMaster大学医学部のBarrowsら1)により開発された問題基盤型学習(problem-based learning:以下,PBL)がある.その後,1980年代後半,同大学理学療法学部で導入され,それを機に欧米を中心に多くの理学療法士養成施設で広まった.また,昨今わが国でもPBLに関する報告が聞かれるようになっている.
本稿では,PBLの概要について述べ,さらに筆者らが実践しているPBLの実施状況や,PBLの最近の動向ならびにエビデンスについて紹介し,今後のわが国の理学療法学教育におけるPBL導入に向けた課題や展望について検討したい.
参考文献
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