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講座 経頭蓋磁気刺激と理学療法・1【新連載】
経頭蓋磁気刺激(TMS)のリハビリテーションにおける活用
著者: 笠井達哉1
所属機関: 1広島大学大学院国際協力研究科教育文化専攻教育開発講座 スポーツ・健康科学教育部門
ページ範囲:P.585 - P.593
文献購入ページに移動はじめに
大脳皮質運動野の経頭蓋磁気刺激(transcranial magnetic stimulation:TMS)によって,筋電図として記録される電位を運動誘発電位(motor evoked potential:MEP)と呼ぶ.運動野に磁気刺激を行い,MEPとして記録された筋電図の潜時,閾値,振幅,そして筋放電休止期の違いから,中枢性運動機能を評価することが可能である.この方法は,現在の理学療法の臨床では,未だ十分な認知を得るに至っていないが,将来的には随意運動機能障害の有力な診断方法として,その有用性が注目され,活発に活用されるようになるであろう.そこで本講座では,理学療法の基礎科学である運動神経生理学的観点から,TMSのメカニズムと有用性,そしてその臨床応用において,適切な結果の解釈と診断に資する最新の知見について解説する.連載第1回の本稿では,特にTMSの神経生理学的基礎理論とそのメカニズムについて概説する.
大脳皮質運動野の経頭蓋磁気刺激(transcranial magnetic stimulation:TMS)によって,筋電図として記録される電位を運動誘発電位(motor evoked potential:MEP)と呼ぶ.運動野に磁気刺激を行い,MEPとして記録された筋電図の潜時,閾値,振幅,そして筋放電休止期の違いから,中枢性運動機能を評価することが可能である.この方法は,現在の理学療法の臨床では,未だ十分な認知を得るに至っていないが,将来的には随意運動機能障害の有力な診断方法として,その有用性が注目され,活発に活用されるようになるであろう.そこで本講座では,理学療法の基礎科学である運動神経生理学的観点から,TMSのメカニズムと有用性,そしてその臨床応用において,適切な結果の解釈と診断に資する最新の知見について解説する.連載第1回の本稿では,特にTMSの神経生理学的基礎理論とそのメカニズムについて概説する.
参考文献
1)笠井達哉:TMSとH-reflexによるヒトの随意運動制御メカニズムの解析.体育学研究 49:283-294,2005
2)笠井達哉:運動誘発電位法.矢部京之助,大築立志,笠井達哉(編著):入門 運動神経生理学,pp41-55,市村出版,2003
3)笠井達哉:運動誘発電位(MEP).宮村実晴(編):新運動生理学 上巻,pp120-129,真興交易,2001
4)笠井達哉:随意運動の発達.宮本省三,他(編):運動制御と運動学習,pp137-155,協同医書,1997
5)笠井達哉:反応時間法とH反射法を使ったヒト随意運動機能の解析.Jpn J Sports Sci 13:131-142,1994
6)笠井達哉:ヒトの経頭蓋的大脳皮質刺激法.Jpn J Sports Sci 12:54-70,1993
7)笠井達哉:脳は下行性運動指令をどのようにコントロールしているか? ―MEPによる解析―.Jpn J Sports Sci 8:876-884,1989
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