理学療法ジャーナル41巻9号

2007年09月発行

入門講座 検査測定／評価・3

筋力

著者： 浦辺幸夫¹

所属機関： ¹広島大学大学院保健学研究科心身機能生活制御科学講座スポーツリハビリテーション学研究室

ページ範囲：P.753 - P.765

はじめに

　理学療法士の職場，対象，扱う疾患は多岐にわたっている．そのなかで，漠然と「理学療法」を行うのではなく，客観的な「効果」を提示していくことが不可欠である．対象者の状態を適正に「評価」することの重要性は論をまたない．本稿で扱う「筋力（muscle strength）評価」の内容については，骨，靱帯，腱，筋という個々の身体組織から，関節という構造体の構成，そしてその構造体を「運動」させていくことを総合的に含んでいる．筋力の評価は，理学療法を進めるにあたり相当に重要な位置付けにあることが理解できるだろう．

　本稿では，筋力に関する評価をどのように行っていくか，できるだけ現実の問題と関係させ，いくつかの側面から論じてみたい．筋力測定については理学療法評価学に関する書物に詳しいので，基礎的な知識に加えて読んでいただければ，一層理解が増すのではないかと考える．また，筋力の評価は理学療法処方にも直接関わり，それが理学療法の成否にも関係するため，運動療法で行われている筋力強化運動（muscle strengthening exercise）と筋力評価を結びつけて考えることも必要であろう．

参考文献

1）福永哲夫：筋力トレーニング．臨床スポーツ医学 1：571-578，1984

2）浦辺幸夫，他：スポーツ選手の筋力増強訓練．PTジャーナル 23：763-769，1989

3）浦辺幸夫：筋力測定，スポーツトレーナーマニュアル，pp128-142，南江堂，1996

4）浦辺幸夫：筋力．内山　靖（編）：理学療法評価学第2版，pp93-108，医学書院，2004

5）浦辺幸夫：筋力強化の科学，理学療法のとらえかた，pp156-167，2001

6）浦辺幸夫：筋力増強運動の医学的基礎，運動療法ガイド，pp61-72，日本医事新報社，2000

7）浦辺幸夫：エクササイズ，アスレチックトレーナーのためのスポーツ医学，pp202-212，文光堂，1998

8）浦辺幸夫：ジャンプ動作とスポーツ外傷．コーチングクリニック 6（11）：55-59，1992

9）浦辺幸夫，他：高校女子バスケットボール選手の膝関節筋力と膝前方動揺性に関する考察．中四整会誌 8：337-342，1996

10）青木はる奈，浦辺幸夫，他：高齢者における下肢筋力と下肢運動機能の関係．理学療法学 27（Suppl 2）：148，2000

11）Urabe Y, et al：Electromyographic analysis of the knee during jump landing in male and female athletes. The Knee 12：129-134, 2005

12）金子文成，浦辺幸夫，他：萎縮筋の最大随意収縮時における筋活動動態の筋電図学的検討．理学療法の医学的基礎研究会雑誌 1：11-16，1997

13）青木はる奈，浦辺幸夫，他：Tilt tableを利用した腹筋強化運動の検討．理学療法学 28（Suppl 2）：108，2001

14）岩本久生，浦辺幸夫，他：高齢者に対するsemi-closed kinetic chainによる筋力評価の試み．第16回中国ブロック理学療法士学会学会誌 16：23-24，2003

15）浦辺幸夫：腰痛症予防に必要な運動と休養．体育の科学 55：830-836，2005