icon fsr

文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル42巻1号

2008年01月発行

文献概要

特集 地域リハビリテーションにおける理学療法

訪問リハビリテーションにおける理学療法の取り組みと課題

著者: 西田宗幹1 石川孝幸2 仲村貴史2 倉谷みゆき2 宮下敏紀2 大脇淳子2

所属機関: 1秋津鴻池病院リハビリテーション部 2鴻池荘訪問リハビリテーション

ページ範囲:P.19 - P.26

文献購入ページに移動
はじめに

 急速な高齢化に対応するため,2006年度の医療・介護保険制度改正により,医療保険制度では訪問リハビリテーション(以下,訪問リハ)が単位制となり,リハが必要な方にはその必要性に応じてより多く実施できるようになった.しかし,介護保険の認定を受けている方は,介護保険制度でのサービスが優先となり,原則的には医療保険制度での訪問リハを併用することはできない.また,介護保険制度では,訪問看護ステーションからの理学療法士(PT)などによる訪問リハ(訪問看護7)と,病院や介護老人保健施設,診療所を事業所とした「訪問リハ算定」がある.今回の改正により,訪問看護ステーションからの理学療法士などの訪問は,看護師の訪問回数を超えてはならないというルールができたが,同じサービス内容で利用者の負担が異なるサービスの混在が継続している状況にある.このように,まだ法的に未整備の部分が多い.

 保険制度改正の目的は,入院患者を在宅療養へと移行させることであり,近年ではそれに十分対応できるように,理学療法士の養成校が増加し,年々有資格者数は増加している.しかし,介護保険サービス全体における訪問リハサービスの比率は非常に小さく,訪問リハで働く理学療法士の数もまだまだ少ないのが現状で,各地域での訪問リハサービスは不足している.また,施設や事業所側も,訪問リハ部門で新人研修や卒後教育を受け入れる研修体制を整備することが難しいため,経験者を中心に求人を行うところが多く,新人理学療法士の雇用を積極的に実施できていないのも一因であると考えられる.

 本稿では,当法人で行っている訪問リハについて,実際に行っている業務の流れや連携の形態,その他の業務内容,現状の課題について報告し,よりよい訪問リハサービスを提供するための方法について述べる.

参考文献

1)大脇淳子,他:訪問リハビリテーション事業所変更に伴う訓練時間の変化.理学療法学 34(suppl 2:第42回日本理学療法学術大会演題抄録集):181,2007
2)厚生労働省:リハビリテーションマネジメントの基本的考え方並びに加算に関する事務処理手順例及び形式例の提示について,老老発0327001号,2006
3)社会保険研究所:高齢者リハビリテーションのあるべき方向,高齢者リハビリテーション研究会報告書,平成16年1月,p62,2004
4)宮下敏紀,他:ケアマネージャーを対象とした渉外活動・研修会による依頼件数の変化,リハビリテーション・ケア合同研究大会青森2006抄録集:135,2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?