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特集 骨関節疾患の理学療法とバイオメカニクス
骨関節疾患の理学療法とバイオメカニクス―日常生活動作,応用動作を中心に
著者: 甲田宗嗣1 辻下守弘2 川村博文3 鶴見隆正3 新小田幸一4 山田直樹5
所属機関: 1広島市総合リハビリテーションセンターリハビリテーション科 2甲南女子大学看護リハビリテーション学部理学療法学科 3神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部リハビリテーション学科理学療法学専攻 4広島大学大学院保健学研究科 5社会保険栗林病院リハビリテーション部
ページ範囲:P.821 - P.827
文献購入ページに移動バイオメカニクスとは,「生体の動きを固体力学,流体力学,熱力学,材料力学の立場から解析する学問分野である」(『人間工学の百科事典』1)より一部抜粋)と定義され,理学療法の分野では固体力学,特に運動学と運動力学により解析されることが多い.バイオメカニクスは解析学であるため,理学療法の臨床に応用するには,種々の知見を理解するための運動学,運動力学の知識と,診療に反映させるための介入スキルが必要になる.
また,WHO(世界保健機関)の「Bone and Joint Decade2)」運動が提言するように,骨関節疾患はQOLに重大な影響を与え,医療費の増大などの経済的損失,就労や社会参加を妨げるなどの社会的損失を招くことから注目されており,わが国でも「運動器の10年」として取り組みがなされている3).骨関節疾患で多くみられる関節の変形や,それに伴う疼痛,二次的に生じる筋力低下などから生じる活動の阻害は,患者が求める日常生活動作や応用動作の内容に大きく影響される,極めて個別性の高い問題である.したがって,患者が求める動作内容のバイオメカニクスを理解することは,個別性を重視した質の高い理学療法の提供につながると思われる.
バイオメカニクスの知見を臨床応用するための介入手段は多岐にわたるが,本稿では動作指導という観点から,バイオメカニクスの基本的な理論を提示し,実践するためのポイントを紹介する.
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