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文献概要
特集 がん治療における理学療法の可能性と課題
がん治療における理学療法の役割
著者: 増田芳之1
所属機関: 1静岡県立静岡がんセンターリハビリテーション科
ページ範囲:P.925 - P.931
文献購入ページに移動はじめに
がん患者は年々増加しているが,がん治療の発展とともに,5年生存率も向上してきている.それに伴い,がん治療を行いながら日々生活している患者に対してリハビリテーション(以下,リハビリ)を適用するケースが増えており,近年では,がんのリハビリに対する種々の報告や研修会・勉強会などが散見されるようになった.
患者は,疾患を宣告されてからの精神的苦痛に始まり,がんという疾患自体の進行,がん性疼痛,嘔気,倦怠感,治療による様々な副作用,それらに伴う体力や活動性の低下,退院後の自宅での生活,社会復帰における問題,治癒,再発への不安のほかに,日々の状態の変化によって心理的影響を強く受ける.そのため,「がんのリハビリ」における理学療法の基本的な役割は,その身体的・心理的状態を十分に把握し,認識した上で,機能的・動作能力的な維持・改善と,意欲向上,患者自身のQOLの維持・向上,家族に対してのアプローチを行うことであると考える1~3).
がん患者は年々増加しているが,がん治療の発展とともに,5年生存率も向上してきている.それに伴い,がん治療を行いながら日々生活している患者に対してリハビリテーション(以下,リハビリ)を適用するケースが増えており,近年では,がんのリハビリに対する種々の報告や研修会・勉強会などが散見されるようになった.
患者は,疾患を宣告されてからの精神的苦痛に始まり,がんという疾患自体の進行,がん性疼痛,嘔気,倦怠感,治療による様々な副作用,それらに伴う体力や活動性の低下,退院後の自宅での生活,社会復帰における問題,治癒,再発への不安のほかに,日々の状態の変化によって心理的影響を強く受ける.そのため,「がんのリハビリ」における理学療法の基本的な役割は,その身体的・心理的状態を十分に把握し,認識した上で,機能的・動作能力的な維持・改善と,意欲向上,患者自身のQOLの維持・向上,家族に対してのアプローチを行うことであると考える1~3).
参考文献
1)辻 哲也:がん治療におけるリハビリテーションの必要性.臨床リハ 12:856-861,2003
2)辻 哲也:がん治療におけるリハビリテーション.看護技術 51(1):54-58,2005
3)西脇香織,他:フィジカルリハビリテーションががんに及ぼす影響.臨床リハ 12:885-889,2003
4)増田芳之,他:悪性腫瘍(がん)のリハビリテーション―理学療法士・作業療法士の役割.総合リハ 31:953-959,2003
5)増田芳之,他:がん治療のリハビリテーション 理学療法士,作業療法士,言語聴覚士の役割.看護技術 51(3):61-66,2005
6)石井 健:がん専門医療施設における理学療法士の役割.PTジャーナル 40:911-916,2006
7)仲 正宏:ホスピス・緩和ケアにおけるリハビリテーション.ホスピスケア 26:1-30,2002
8)増田芳之:基本動作,歩行障害へのアプローチ.ホスピスケア 34:87-96,2006
9)増田芳之:廃用症候群・体力消耗状態・がん悪液質症候群へのアプローチ.がんのリハビリテーション実践セミナーテキストpp108-112,(財)ライフプランニングセンター,2008
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