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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル42巻2号

2008年02月発行

文献概要

報告

回復期リハビリテーション病棟における脳卒中クリティカルパスの入院1か月時点での達成目標

著者: 桑田稔丈1 徳永誠2 鳥羽優美子1 三宮克彦1 渡邊進2 中西亮二2 山永裕明2

所属機関: 1熊本機能病院総合リハビリテーション部 2熊本機能病院リハビリテーション科

ページ範囲:P.159 - P.163

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要旨:本研究の目的は,脳卒中クリティカルパスにおいて,自宅退院という退院時目標を達成するために必要な,入院1か月時点での達成目標を明らかにすることである.当院回復期リハビリテーション病棟から退院した脳卒中患者229例を対象に,入院時,入院1か月後,退院時における,障害老人の日常生活自立度判定基準(自立度),移動能力,機能的自立度評価法(functional independence measure:FIM),退院時転帰について後向き調査を行った.その結果,自宅退院を目指すには,退院時に独歩が可能であること,退院時に独歩が可能となるためには,入院1か月後の自立度において「屋内での生活は何らかの介助を要し,日中もベッド上での生活が主体であるが座位を保ち,車いすに移乗し,食事,排泄はベットから離れて行う」という基準以上であることが重要であった.また,入院1か月後にその基準以下であっても,入院から1か月間のFIM増加量が21点以上あれば,退院時に独歩を獲得できる可能性があった.今回の調査は,回復期リハビリテーション病棟におけるリハビリテーションの効果を反映した脳卒中の予後予測として,また脳卒中クリティカルパスで達成目標を設定する際の基礎資料として有用である.

参考文献

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9)日野和人,他:回復期リハビリテーション病棟における脳卒中片麻痺患者の歩行予後予測について(抄録集).理学療法学 31:S312,2004
10)平井有美,他:脳卒中地域連携クリティカルパス作成への取り組み.日本医療マネジメント学会雑誌 7:422-427,2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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