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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル42巻3号

2008年03月発行

文献概要

特集 WCPT WCPTのメインプロジェクト

2.Community Based Rehabilitation(CBR)

著者: 渡邊雅行1

所属機関: 1大阪大学大学院人間科学研究科

ページ範囲:P.197 - P.200

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はじめに

 本稿では,世界理学療法連盟(以下,WCPT)のメインプロジェクトの1つであるCommunity Based Rehabilitation(以下,CBR)について論じる.

 1978年に世界保健機関(以下,WHO)は,「2000年までにすべての人々に健康を」という目標を掲げ,プライマリ・ヘルスケア(以下,PHC)戦略を強調した1).その中では,障害の予防とリハビリテーションの普及のために,コミュニティの関与の重要性に言及している.PHCの理念に基づき,コミュニティの参加を掲げたCBRは,保健医療システムや福祉制度が未整備の開発途上国での推進が主眼とされた.したがって,専門職の養成や医療機関が充実した先進国における「地域リハビリテーション」とは,実質的なサービスのあり方が異なる.

 日本では理学療法士・作業療法士による訪問リハビリテーションを地域リハビリテーションと呼ぶこともあるので,それと区別するために,CBRは「地域に根ざしたリハビリテーション」や「地域住民参加型リハビリテーション」2)と呼ばれることもある.地域リハビリテーションとCBRは,障害者の権利や自己決定の尊重,多機関・多職種の連携やリファーラル(照会)のシステム,ノーマライゼーションやインクルージョン注)の理念など,多くの共通項を有する.

 本稿では,CBRの定義,WCPTをはじめとするCBRをとりまく国際的な動向,CBRの事例や今後の方向性について述べる.

参考文献

1)WHO:Declaration of Alma-Ata, Alma-Ata, USSR, 1978 http://www.who.int/hpr/NPH/docs/declaration_almaata.pdf(2007年11月30日)
2)小林明子:アジアに学ぶ福祉,pp46-47,学苑社,1995
3)WHO:Training in the community for people with disabilities, 1989 http://www.who.int/disabilities/publications/cbr/en/index.html(2007年11月30日)
4)David Werner:Disabled village children, Hesperian Foundation, Berkeley, CA, 1987 http://www.dinf.ne.jp/doc/english/global/david/dwe002/dwe00201.htm(2007年11月30日)
5)WHO:CBR:A strategy for rehabilitation, equalization of opportunities, poverty reduction and social inclusion of people with disablities(Joint position paper 2004) http://www.who.int/disabilities/publications/cbr/en/index.html(2007年11月30日)
6)Padmani Mendis:Current trends in the development of community-based rehabilitation(CBR)〔久野研二(訳)地域社会に根ざしたリハビリテーション(CBR)の発展における現在の傾向,吉田美穂,他(編):CBRの手引き パドマニ・メンディス博士 講演会記念集,p43,日本CBRネットワーク,2000〕
7)United Nations:World programme of action concerning disabeld persons, New York, UN, 1983
8)UNICEF, National Planning Commision, HMG Nepal:A situation analysis of disability in Nepal, Kathmandu, Nepal, UNICEF, 2001
9)2002 Census, Central Bureau of Statistics, Kathmandu, Nepal, 2002
10)WCPT:Position statements-community based rehabilitation, 2003 http://www.wcpt.org/policies/position/cbr.php(2007年11月30日)
11)WCPT:Changing concepts of CBR1 The WHO review, 2006 http://www.wcpt.org/common/docs/Changing_Concepts_of_CBR1.pdf(2007年11月30日)
12)WCPT:Changing concepts of CBR2 Implications for Physical Therapists, 2007 http://www.wcpt.org/common/docs/wcpt_keynote_CBR2.pdf(2007年11月30日)
13)田口順子:インドネシア・ソロCBR海外技術協力プロジェクト5か年計画を終えて.JANNET NEWS LETTER 4(4),障害分野NGO連絡会(JANNET),1998
14)日本理学療法士協会国際部,他(編):第14回海外技術協力セミナー・第5回国際交流セミナー資料,pp36-42,2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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