理学療法ジャーナル42巻4号

2008年04月発行

特集 認知運動療法の臨床アプローチと効果

症例報告：両下肢切断患者が抱える幻肢痛に対する認知運動療法

著者： 小林弘基¹ 大原裕子¹ 久保卓文¹ 坂井由香¹ 山崎優希²

所属機関： ¹寺岡整形外科病院リハビリテーション科 ²グリーンハウス宏喜苑リハビリテーション科

ページ範囲：P.285 - P.289

はじめに

　外傷や糖尿病による末梢循環障害など，様々な原因によって切断術を受けた患者において，幻肢・幻肢痛が発生することがある．これらの症状はいずれも切断術後の身体が存在していない部位に出現するため，原因の特定が難しく，治療アプローチについても明確な解答が得られていないのが現状である．

　本稿では，2003年に右大腿切断術，2005年に左下腿切断術を施行され，数年が経過してもなお両側ともに幻肢痛を抱えている患者に対して，脳科学を中心とした知見から病態を解釈し，治療アプローチ（認知運動療法）を行った経過を報告する．

参考文献

1）岩村吉晃：タッチ（神経心理学コレクション），医学書院，2001

2）内藤栄一：体性感覚のイメージング．神経進歩 48：249-259，2004

3）岩村吉晃：体性感覚の階層的処理と触知覚．神経進歩 48：510-521，2004

4）田岡三希，他：大脳皮質体性感覚野の情報処理機構と触知覚．神経進歩 48：239-247，2004

5）牛田享宏，他：運動器の痛みと脳の反応．臨整外 42：511-517，2007

6）池本竜則，他：仮想（擬似）痛み経験に伴う脳活動部位の検討．臨床脳波 49：413-419，2007

7）岩田幸一：侵害受容の中枢機序．神経進歩 42：384-395，1998

8）川上順子，他：頭頂葉と痛みの認知．神経進歩 48：537-541，2004

9）森岡　周：リハビリテーションのための認知神経科学入門，協同医書，2006

10）Perfetti C：第4回認知運動療法マスターコース　第1講義資料，2007

11）Perfetti C，宮本省三，沖田一彦（著），小池美納（訳）：認知運動療法―運動機能再教育の新しいパラダイム，協同医書，1998