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特集 認知運動療法の臨床アプローチと効果
脳性麻痺児に対する認知運動療法の臨床アプローチと効果
著者: 人見眞理1
所属機関: 1重症心身障害児施設ソレイユ川崎リハビリテーション部
ページ範囲:P.291 - P.296
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「脳性麻痺」という障害像について旧来の方法論にとらわれずに考えてみると,そもそも彼らが積み重ねている日々の経験が,「健常」と言われている子どもたちのそれとは質が違うということに思い至る.経験の質が違うというのは,単に量的にあるいはバリエーションとして不足しているというだけでなく,そこから創発される,自分自身や他者,外界,あるいはそれらの関係性についての彼ら自身の了解の作られ方が違うということである.したがって,彼らの障害を改善する方向性を目指すためには,彼らの経験の質を知ることから始めなければならない.本稿では,その手がかりを得て,アプローチを組み立て,実施するという,セラピスト側の一連の思考プロセスを中心に述べる.
「脳性麻痺」という障害像について旧来の方法論にとらわれずに考えてみると,そもそも彼らが積み重ねている日々の経験が,「健常」と言われている子どもたちのそれとは質が違うということに思い至る.経験の質が違うというのは,単に量的にあるいはバリエーションとして不足しているというだけでなく,そこから創発される,自分自身や他者,外界,あるいはそれらの関係性についての彼ら自身の了解の作られ方が違うということである.したがって,彼らの障害を改善する方向性を目指すためには,彼らの経験の質を知ることから始めなければならない.本稿では,その手がかりを得て,アプローチを組み立て,実施するという,セラピスト側の一連の思考プロセスを中心に述べる.
参考文献
1)Rosenzweig MR, et al:Brain changes in response to experience. Sci Amer 226:22-30, 1972
2)森岡 周:リハビリテーションのための脳・神経科学入門,pp24-26,協同医書,2005
3)Perfette C,他(著),小池美納(訳):運動機能再教育の新しいパラダイム 認知運動療法,協同医書,1998
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5)河本英夫:オートポイエーシスの拡張,青土社,2000
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10)河本英夫:システム現象学―オートポイエーシスの第四領域,新曜社,2006
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