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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル42巻5号

2008年05月発行

文献概要

報告

回復期リハビリテーション病棟患者にみる2006年度診療報酬改定の影響―在院日数,ADL,算定単位数,転帰先の変化

著者: 岩井信彦1 細田佳代2 青柳陽一郎3

所属機関: 1神戸学院大学総合リハビリテーション学部 2赤穂中央病院リハビリテーション部 3川崎医科大学リハビリテーション医学

ページ範囲:P.429 - P.433

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要旨:2006年4月の診療報酬改定が,患者の在院日数やADL能力の回復,算定単位数,転帰先にどのような影響を及ぼしたのかを検証することは,リハビリテーション(以下,リハ)医療の立場や病棟管理の面からも必要不可欠である.今回,2005年1月から2007年3月までに赤穂中央病院回復期リハ病棟に入棟した患者403名を改定前群と改定後群に分け,①年齢,性別,②発症から入棟までの期間,③入棟期間,④発症から退棟までの期間,⑤ ADL(入棟時FIM,退棟時FIM,FIM gain,FIM efficiency),⑥リハ料1日平均算定単位数,⑦ ADL加算がリハ料総算定単位数に占める割合,⑧転帰先の8項目を後方視的に調査し,比較検討した.その結果,改定後は効率的にADL能力が改善した一方で,より早期に患者を受け入れる必要が生じたこともあり,合併症などで一般病床へ転棟する症例が増えた.患者の全身状態への十分な配慮とともに,入院早期より退院後の生活を見越した対応を行い,より効率的なリハ医療の提供に努めることが重要と思われた.

参考文献

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2)金子功一:医療・介護保険改定が訪問リハビリテーションに及ぼした影響―当診療所訪問リハビリテーション利用者の動向調査を通じて―.理学療法学34(Suppl):553,2007
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11)石田 暉,他:リハビリテーション科専門医の関与の有無と患者のアウトカム―ADL改善度,ADL改善率および自宅退院率との関連―.リハ医学42:232-236,2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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