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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル42巻6号

2008年06月発行

文献概要

特集 Stroke Unitと理学療法

わが国のStroke Unitにおける現状と課題

著者: 尾谷寛隆1 上原敏志1 峰松一夫1

所属機関: 1国立循環器病センターリハビリテーション部

ページ範囲:P.473 - P.478

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はじめに

 脳卒中は,わが国における全死因の第3位,要介護者となる原因疾患の第1位,特に要介護度5の患者の44.5%を占めるという重篤な疾患である(2004年時点).

 近年,脳卒中ユニット(stroke unit:以下,SU)での治療が死亡率を低下させ,その後の日常生活活動(ADL),生活の質(QOL)を改善させるとともに,結果的に家庭復帰率を向上させ,入院期間を短縮させることが明らかにされている1~4).筆者らの勤務する国立循環器病センターでは,1978年に全国に先駆けて脳卒中集中治療室(stroke care unit:以下,SCU)を設置し,SCUやSUの必要性を全国に訴えてきた.しかし,1999年の時点では,医療施設におけるSUの設置率は3%程度にとどまっていた5).この背景には,脳卒中診療体制やSUの運営指針などについての明確な基準が策定されていなかったという実情があり,また保険診療上もSU設置による医療効果,経営効果が提示されていなかった.

 2005年10月11日,ようやくわが国でも,発症3時間以内の脳梗塞患者に対して,遺伝子組み換え組織型プラスミノーゲン・アクティベータ(recombinant tissue-type plasminogen activator:以下,rt-PA)であるアルテプラーゼ静注療法が認可され,急性期脳卒中医療に特化した,より専門的なSUを整備・普及させることの重要性が認識されるようになった.

参考文献

1)Stroke Unit Trialists' Collaboration:Collaborative systematic review of the randomised trials of organised inpatient(stroke unit)care after stroke. BMJ 314:1151-1159, 1997
2)Stroke Unit Trialists' Collaboration:How do stroke units improve patient outcomes? A collaborative systematic review of the randomized trials. Stroke 28:2139-2144, 1997
3)Langhorne P, et al:Do stroke units save lives? Lancet 342:395-398, 1993
4)Jørgensen HS, et al:The effect of a stroke unit:reductions in mortality, discharge rate to nursing home, length of hospital stay, and cost. A community-based study. Stroke 26:1178-1182, 1995
5)山口武典:脳梗塞急性期医療の実態に関する研究.平成10年度厚生科学研究費補助金による健康科学総合研究事業研究報告書,国立循環器病センター,1999
6)Alberts MJ, et al:Recommendations for the establishment of primary stroke centers. Brain Attack Coalition. JAMA 283:3102-3109, 2000
7)篠原幸人,他(編):脳卒中治療ガイドライン2004,協和企画,pp14-15,2004
8)峰松一夫:わが国におけるStroke Unitの有効性に関する多施設共同前向き研究,厚生労働科学研究費補助金長寿科学総合研究事業,平成16年~17年度総合研究報告書,2006
9)長谷川泰弘:脳卒中診療システムとSU(stroke unit),SCU(stroke care unit).日本臨牀 64(増刊号7):792-797,2006
10)長谷川泰弘,他:Stroke Unitの現状と課題:急性期脳卒中診療体制に関する全国アンケート調査から.脳卒中 28:545-549,2006
11)豊田章宏,他:わが国のStroke Unitにおけるリハビリテーション.脳卒中 29:38-43,2007
12)峰松一夫:脳卒中地域医療におけるインディケーターの選定と監査システム開発に関する研究,厚生労働科学研究費補助金循環器疾患生活習慣病対策総合研究事業,平成18年度総括・分担研究報告書,2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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