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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル42巻6号

2008年06月発行

文献概要

入門講座 運動療法の基本中の基本・6

有酸素運動の基本

著者: 田畑稔1

所属機関: 1豊橋創造大学リハビリテーション学部理学療法学科

ページ範囲:P.515 - P.526

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有酸素運動って何ですか?有酸素運動以外には何があるのですか?

 骨格筋の収縮に用いられるエネルギー源はアデノシン三リン酸(adenosine triphosphate;以下,ATP)である.ところが,骨格筋に含有されているATPは5μmol/g1)程度の量であり,運動を開始するとすぐに枯渇してしまう.そこで,酸素運搬系を利用して血液中の糖質や脂質を酸化しながら,骨格筋へ大量のATPを持続的に供給し運動することを有酸素運動と呼ぶ.

 ATPはミトコンドリア内で合成され,ピルビン酸(Pi)あるいは遊離脂肪酸から生成されたアセチルコリン補酵素は,トリカルボン酸回路(クエン酸回路やクレブス回路とも呼ばれている)により,ATPと二酸化炭素と水を生成する(図1a).この機構によるエネルギー供給のスピードは比較的ゆっくりではあるが,血中の糖質と脂質,肺から酸素の供給がある限りほぼ無期限のエネルギー供給が可能なため,開始から3分以上継続する運動の場合は,長時間の実施が可能である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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