icon fsr

文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル42巻7号

2008年07月発行

文献概要

入門講座 実践―基本統計学のQ&A・1【新連載】

例題から考える統計の基本―研究計画における統計理解のポイント

著者: 関屋曻1 高橋正明2

所属機関: 1昭和大学保健医療学部理学療法学科 2群馬パース大学理学療法学科

ページ範囲:P.599 - P.605

文献購入ページに移動
序論

 統計処理用のコンピュータソフトが使いやすくなり,誰でもが簡単に統計処理を行える時代になりました.少し前までは,方眼紙に1つひとつのデータをプロットして散布図を作ったり,統計学テキストの数式を確認しながら電卓を片手に統計量を計算し,数表を見て判断したりすることが一般的なやり方でした.最近になってパソコンとアプリケーションソフトの普及で状況は一変しました.煩わしい計算もコンピュータを使うと瞬時に遂行でき,計算ミスをすることも少なく,たいへん効率的になりました(ソフトに誤りがなく,正しくプログラムを選択していればという条件付きですが).しかし,どんなに良いソフトウェアがあっても,変数間のどのような関係を示せば目的を果たせるのか,どの検定手法をどのように用いるかは各自が判断しなければなりません.この判断をするためには,ソフトウェアのマニュアルを読むだけでは不十分であり,数学的な理解が必要と思われます.しかし,数学的背景を十分に理解していることは望ましいに違いありませんが,完全に理解しようとすると膨大な労力と時間を要してしまいます.

 本入門講座では研究報告を読み聞きしたり,研究のデザインを考えたり,あるいは実施された実験や調査を整理する時に必要になる統計処理について,多くの人がよく抱く疑問点を取り上げ,必要最低限の数学的理解と,手法の正しい選択について,できるだけわかりやすい解説を試みます.

参考文献

1)Cook DC, Campbell DT:Quasi experimentation, Houghton Mifflin Company, Boston, 1979
2)肥田野直,他:心理教育統計学,培風館,1961
3)Huck SW, et al:Reading statistic and research, Harper Collins Publishers, New York, 1974
4)森 敏昭,吉田寿夫:データ解析テクニカルブック,北大路書房,1990
5)永田 靖:統計的方法のしくみ,日科技連,1996
6)佐伯 胖,松原 望:実践としての統計学,東京大学出版会,2000
7)関屋 曻:実験研究の基本的な考え方,理学療法学 23:476-479,1996
8)芝 祐順,南風原朝和:行動科学における統計解析法,東京大学出版会,1990
9)Siegel S, Castellan NJ:Nonparametric statistics for the behavioral sciences, McGraw-Hill, New York, 1988
10)豊田秀樹:違いを見抜く統計学,講談社,1994

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?