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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル42巻7号

2008年07月発行

文献概要

報告

脳梗塞急性期の起立運動における収縮期血圧の変動に関する検討

著者: 高石真二郎1 秦和文2 小峰美仁1 間嶋満1

所属機関: 1埼玉医科大学病院リハビリテーション科 2埼玉医科大学国際医療センターリハビリテーション科

ページ範囲:P.625 - P.629

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要旨:近年,脳梗塞急性期の理学療法において,起立運動が積極的に施行されている.脳梗塞を発症し,離床後,初回の起立運動を施行した患者138名を対象に,安静臥位から起立運動後に至るまでの臥位時,座位時,立位時と起立運動直後の収縮期血圧を測定し,起立運動が血圧変動にどのような影響を与えるかを検討した.臥位時の収縮期血圧を基準として起立運動後の収縮期血圧の増減を求め,増加,または低下しなかった群(Ⅰ群),1~20mmHg低下した群(Ⅱa群),20mmHg以上低下した著明な低下群(Ⅱb群)の3群に分けた.起立運動後,Ⅰ群は86名,Ⅱa群は43名,Ⅱb群は9名であった.3群間において,起立運動施行前の臥位時の血圧に有意な差が認められたが,年齢,臥床期間,座位時血圧,立位時血圧,麻痺(下肢)の重症度には差がなかった.脳梗塞急性期に起立運動を施行する時は,運動前後の血圧のみでなく,起立運動施行前の安静臥位時の血圧が起立時の血圧を予測するうえで重要である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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